21
「ここなら文句はねェな?」
ローはベポを振り切り寝室へとやって来た。
「あ、えっと……」
○○は戸惑いながらベッドに座るローを見た。
「来い」
「っ!!!」
ローに腕を引かれ、ローへと倒れ込むようにベッドへと倒れ込んだ。
ローは再び○○を組敷くと手や唇を使って○○を翻弄していく。
「ん!」
冷えかけた体はまた急に熱を帯始めた。
「ろ、ロー君……」
○○は弱々しく声を出す。
「何だ?」
ローは律儀にも答える。○○が余りにも不安そうな顔をしたからだ。
「あの、あのね!わ、私……は、初めて……なの」
○○は真っ赤な顔で思い切って言葉にした。
「…………」
ローは手を止めると○○を無言で見下ろした。
「うう、今面倒だと思ったでしょ?」
○○恥ずかしさのあまり泣きそうになりながら言う。
「…………そんな事ねェが」
「間があるよ」
○○はいっそう不安になりながらローに突っ込んだ。
「うわーん!もう、ロー君しか見てなかったから!そ、そうだ!今からでも……だ、誰か!あ、シャチ様かペンギンにっ!!!」
○○はパニックを起こしたように叫び回るが、ローは苛立たし気に○○を押し倒した。
「お前、何でペンギンの事は呼び捨て何だ?」
「え?」
ローに低い声で凄まれて○○はきょとんとローを見上げた。
「何故だ?」
ローは厳しい顔付きのまま○○を見る。
「ぺ、ペンギンが『呼び捨てで敬語もいらない』って言うから……」
○○はそのままローへと伝える。
「そうか。なら俺の事も呼び捨てろ」
ローは唇が重なりそうなほど近くで声を出す。
「い、今更?」
照れ臭いと○○は間近のローを見る。
「後になるともっと言いづらいだろ」
ローは呆れたように言うと○○の顔に息がかかる。
「…………ろ、ロー」
○○は照れながらもしっかりと声を出す。
「何だ?」
「ふふ、言ってみただけ」
○○は嬉しそうに笑った。
ローは○○の反応に優しく笑うと唇を重ねた。
「○○もここにいろ」
ローはじっと○○を見た。
「俺から離れるな……」
「…………」
暗がりで見るローはいつもの自信満々と言う態度ではなく、今にも消えそうで儚そうな顔をしていた。
○○はそんなローに言葉を返せないままに唇を重ねた。
ーーピンポーン
朝早く来客を知らせるチャイムが鳴った。
「…………」
○○はその音にゆっくり目を覚ました。
「……ん?」
何かざらりとしたものが○○の頬を撫でた。
「…………ベポ?」
頭がくらくらとする中、真っ白な子猫が○○の頬を撫でた。
「……寒い」
○○は布団を深く被り、目を閉じた。
ーーピンポーン
再び響くチャイム。
「チッ」
すぐ近くで舌打ちをする音がした。
「…………っ!!ろ、ろーくん?」
○○は驚いて隣に眠っていたローを見る。
お互いに素肌で、ローの刺青が目に入った。
「○○は寝てろ」
ローは不機嫌そうにズボンを履くとパーカーを羽織って部屋を出た。
「…………そっか、私……」
○○は慌てて服を広い集め身に付けた。髪を手櫛で整えるとローを追って部屋を出た。
ベポはお腹が減ったのか○○の足下に擦り寄った。
「お腹減った?私も」
クスクスと笑いながらベポを抱き上げた。
「っ!!○○!いたんだ!おはよー!」
「…………しゃ、シャチ様?」
リビングに出ると部屋に入ってきたシャチとペンギンに会った。
シャチの頭には見事なタンコブがあり驚いた。
「いつもの事だ、気にするな」
ペンギンはやれやれとシャチの頭を見る。
「良いなー!仲良しで!お泊まりデート?!ん?」
シャチはニヤニヤと○○を見た。その視線は腕に抱かれるベポへと注がれる。
「ベポだ」
シャチの視線に気付き、ローが機嫌悪く言う。
「あー!昨日のはこれか!ベポか!良かったな!ベポ!」
「飼うんですか?」
嬉しそうなシャチにペンギンはローを振り向く。
「あァ。○○もここに住む」
「…………」
「…………」
「「えぇ?!!」」
「うるせェ」
「キャプテン本気ですか?!」
「あァ」
「あのキャプテンが……」
「何か問題でもあるのか?ペンギン」
「い、いえ」
「そっか!今度からここに来れば○○とベポがいるんだな!宜しくな!」
「もう来るな」
「酷っ!!」
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