18

「大丈夫なのか?それ」

「青くなってるよ……」

ボニーは○○の首を指差す。優子も心配そうにした。
夕飯を食べた後に温泉があるとやって来た。
温泉は露天風呂で女湯と男湯に別れた岩風呂であった。

「え?……っ!!あー!大丈夫だよ!」

○○は慌ててそれを隠すように手を当てると笑った。
ローに絞められた首にはくっきりと後が残っていた。

「しっかし、あんなので良いのか?」

「え?」

「トラファルガーだよ!あいつが恋人で良いのか?」

「ぷはっ!」

ボニーが○○の顔にお湯をかけながら言う。

「もちろん!私はロー君が好きなんだもん」

○○は照れながらもしっかりとした声を出した。

「あんな性格の悪い……」

ボニーは嫌そうに顔を歪める。

「そんな事ないよ!ロー君は私を助けてくれたんだよ!」

○○は力強く反発する。

「まァ、あれで死なれたら目覚め悪いしな」

ボニーがニヤリと歪んだ笑みを見せる。

「もちろんさっきもだけど、……前も」

「「前?」」

ボニーだけでなく優子も興味津々と聞く。

「う、うん。一年生の時に熱で朦朧とした時にね……」

○○は照れながらもその時の事を話した。

「ロー君カッコイイね!」

優子は興奮した様に声を出した。

「でしょ?!」

○○は嬉しそうに頷いた。

「それって案外ペンギンの方じゃねェの?」

ボニーはニヤニヤと笑った。

「え?まさか!」

○○はあの2人を見間違える筈がないと言う。

「いーや!トラファルガーよりもペンギンの方が助けそうだ」

ボニーは一人納得した様に頷いた。

「……いやいやいや!確かにロー君だったよ!」

○○は首を左右に振って反論する。

「ふっふー!どうかなー?」

ボニーは○○の反応を楽しむように意地悪く言葉を重ねる。

「まぁまぁ、ボニーちゃん!」

優子はボニーを宥めるように笑った。

「私は○○さんをロー君が助けたと思うよ。ロー君って何やかんや言っても面倒見良いからね」

優子はにこにこと笑った。

「だよね!!あ!私の事はさん付けじゃなくて良いよ!」

○○は優子に言う。

「そう?じゃあ○○ちゃん!宜しくね」

優子は嬉しそうに笑った。

「で?あんたはどうなんだよ」

「わっ!」

今度は優子にお湯をかけるボニー。

「エースだよ、エース!」

ニヤニヤとボニーが優子をつつく。

「え?あ、相変わらず仲良しだよ?」

優子は急にふられて慌てて答える。

「そんなの見てれば分かる。結婚とか言ってるけど、どうなんだ?」

ボニーがニヤニヤと優子に近付いた。

「それ!私も聞きたい!」

○○もボニーの逆側を挟んで優子を逃がさないようにした。

「え?……う、うん。この前役所で婚姻届もらった……」

顔を真っ赤にしてうつ向きながら優子は小さな声を出した。

「キャー!!良いなぁ!!」

○○は自分も赤くなって叫ぶ。

「ふふ!熱いねェ」

ボニーはわざとらしく手で自分を扇ぐ。

「もう、お2人のお噂はかねがね!」

「何でそんなに丁寧なのー!」

「ぎゃはははは!!」








「女湯は盛り上がってるなー!」

シャチは買い込んだ日本酒を飲みながら塀を隔ててある女湯に視線を向けた。

「何話してるかは解らないけどな」

エースも足を伸ばしながら酒を煽った。

「結婚とか聞こえるが?」

ペンギンがニヤリとエースを見る。

「おぉ!とうとう結婚か!式には呼んでくれよ!きっかけは俺の携帯だからな!!」

えっへんとシャチが胸を張った。

「あー、そう言やそんな事もあったな」

エースは遠い日を思い出すように言う。

「だろ?感謝だろ?」

シャチはニヤニヤと笑う。

「コーラやったろ?」

「えェ?!呼ばない気かよ?!」

エースの言葉にシャチは大袈裟に声を出す。

「シャチ、うるせェ」

ローが静かに笑いながら酒をあおった。

「ところでお前本気なんだな?」

エースはローを見る。

「何がだ?」

「○○だろ」

「あァ……」

ローはごくりと酒を飲んで喉を潤した。

「俺の所有物には違いないな」

「所有物、ねェ」

ローの言葉にエースはおうむ返しをする。

「良いなぁ!俺も彼女とイチャイチャしたい!」

シャチがため息混じりに言う。

「お前、ちょくちょく女いないか?」

エースは不思議そうにシャチを見る。

「……フラれるんだよな。『シャチ君て楽しいけど何か違う』って」

シャチはがっくりと肩を落とす。

「うわ、何だそれ!?」

エースはあーあ、と言う様に残念そうな顔をする。

「哀れだな、シャチ」

ペンギンがポンっとシャチの肩を叩く。

「うう……」

シャチは腕で目頭を覆った。

「ところでお前はどうなんだ?」

エースがペンギンを指差す。

「俺か?いないな」

ペンギンは隠すでもなくきっぱりと言う。

「ペンギンはあれだ!幼なじみ!」

シャチがニヤニヤとペンギンを指差す。

「……あァ、あれか」

ローも納得した様に頷いた。

「何だ!彼女いんのか!」

エースは少し驚いた様に声を出す。

「いや」

ペンギンは首を左右に振る。

「隠すな!隠すな!って!」

シャチはニヤニヤする。

「そんなんじゃないのはお前も知ってるだろ」

ペンギンが呆れる様にシャチを見る。

「あ!そう言えば少し○○に似てるよな!」

「「そうか?」」

ペンギンとローは不思議そうに幼なじみを思い浮かべた。







「くそー!!俺も彼女作るぞー!!」

「うるせェぞ」

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