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ーーコンコン


静かな廊下に○○が出したノック音が響き渡る。

「……ロー君?○○です」

○○が声をかけるが、部屋からは何も聞こえない。

「っ!……お邪魔しまーす」

ドアノブを回すと扉が開き、○○はゆっくりと部屋へと入った。

「入って良いとは言っていない」

暗い部屋に冷たいローの声が響く。

「……入っちゃダメ……とも、言ってない……よね?」

「……」

○○が声を出すとローは無言になった。

「入るよー」

○○はローの無言を肯定と取ると部屋に入り、ドアを閉めた。
ローはベッドに横になり、こちらに背を向けていた。
部屋は荒れて荷物が散乱していた。

「……あの、ロー君が助けてくれたんだよね?ありがとう!」

○○は(辛辣な言葉を言われてもめげない!)と心に言い聞かせてしっかりとした声を出した。

「……途中で吹雪になっちゃって!怖かったけどね、ロー君と降りた時の事を思い出して頑張ったよ!」

○○がわざと明るく声を出す。

「馬鹿か?」

ローはゆっくりと声を出した。

「ゲレンデには俺もいたんだ。電話くらいすれば良いだろう」

怒りに満ちた冷たい声でローは喋った。

「……ごめんなさい」

○○はローの怒りを感じて恐くて頭を下げた。

「ふざけるな!」

「っ!!」

ローは起き上がると同時に枕を○○が入ってきたドアに向けて投げた。

「お前は何なんだ!山の天気は変わりやすいんだ!!吹雪で素人が道を見失ったらどうする!!!」

珍しく声を荒げるローに○○は身を縮ませた。

「……ごめん、なさい」

「今何に謝ったんだ?」

ローは冷たい目で○○を見る。

「ロー君を心配させた」

○○は恐怖を感じながらもローへの申し訳なさ、感謝と謝罪を伝えるためにローへと近付いた。

「っ!!」

近付いて来た○○の腕を力任せに引っ張り、ローは○○をベッドに引きずり込むと組敷いた。

「まずは俺に言えば良いだろ?言っても解らないならバラすか?」

ローは○○の首を絞める様に片手を首に巻いた。

「っろ……」

○○は痛さと苦しさでローの絞められている手を持った。

「お前は俺のモノだ。何より先に俺に相談しろ」

ローは絞める手に力を入れる。

「苦しいか?」

ローは愛しそうに○○の目から流れ出た涙を指で拭った。

「お前は俺の側で息をすれば良い」

「っはっ!ごほごほ!」

ローが○○の首から手を離すと○○は酸素を求める様に口を開き、咳をした。

「……ろー、くん」

○○は何とか声を出した。

「何だ?」

ローは落ち着きを取り戻したのか、○○を組敷いたまま聞き返す。

「心配してくれて、ありがとう」

「っ!……」

○○の意外な反応にローは眉間にシワを寄せた。
拒否をされるか、怖がられるかと思っていたのだ。

「私もロー君が大好きだよ」

「……誰が、お前なんか……」

「酷っ!!」

○○はクスクスと笑った。

「でも、出来たら首を絞めるより、優しくして欲しい……な」

○○が勇気を出してそう顔を真っ赤にして言った。

「……首絞められて感じるとか、変態だな」

ローはニヤリと笑った。○○の態度に冷静な自分を取り戻した。

「なっ!変な事っ」

○○が慌てて言葉を返そうとしたが、ローの口付けによって阻まれた。
先程までの態度とは打って代わって優しいキスだった。

「……ろー、くん」

○○に名を呼ばれたのを合図にローは口付けを深くした。

○○はローの首に自分の腕を巻き付ける。
ローは○○の服に手を侵入させる。





ーードンドン!!


「トラファルガー!!!」

「っ!!」

突然ドアを激しくノックされ、ボニーの怒鳴り声が響いた。
○○は驚いて体をびくりと反応し、ローから手を離す。

「……」

「ん!」

ローは外の声を無視する様に○○を攻め立てる。○○はローを止めさせようと必死でもがきながら、声が出ない様に力を入れた。

「○○は無事なんだろうな?!」

ドンドン!!と激しく叩きながらボニーは叫ぶ。

「ローくっ!」

○○がローを止めさせようと手と声を出すが、ローはそれを楽しむように○○の体に手を這わせる。

「ぎゃぶでーん!!○○を殺さないでー!!!」

「……」

シャチの泣き声にローの動きが緩む。

「こら!シャチ!」

ペンギンの慌てて止めようとする声も聞こえる。

「ろ、ロー君!」

○○は慌ててローを見上げる。

「……」

ローは不機嫌さを隠しもせずに○○の上から退いた。
○○はホッとしたように乱れた服を戻した。

「……何だ?」

ローは不機嫌な声のままドアを開けた。

「○○は無事か?!元はと言えば私が悪いんだ!」

ボニーが○○を庇う様に声を出した。

「ぎゃぶでーん!!人殺しちゃダメですー!!!」

心配したシャチがボロボロと涙を流した。

「こんな所で殺すわけ無いだろ」

ローが呆れた様にシャチを見た。

「そうだぞ、シャチ。こんな目立つ所ではしないだろう」

ペンギンは当然とばかりに声を出す。

「そうそう!ローだからな!」

エースはニヤニヤと笑った。

「そろそろご飯だって!」

優子はローの後ろに○○を見付けてホッとしたように笑った。

「……そうか」

ローは仕方ないと言うように頷くと○○を連れて部屋を出た。
そんなローの態度にホッとしたように皆が食堂へと向かう。



「ロー君」

「何だ?」

ローが○○を振り返る。○○がちょいちょいと指を動かすのでローは○○に合わせる様に屈んだ。

「っ!」

「頼りにさせてもらうね!」

○○は自らローに口付けると、嬉しそうに笑った。
照れ臭いのか、足早に皆を追った。

「……」

ローは満足そうに口の端を上げると皆の後を追った。

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