16

レストランの入り口は吹雪から逃れて来た人でごった返していた。

「チッ」

ローは苛つきながら人混みをかき分けて外に出た。
外は吹雪、視界の悪さに苛つきながらローは人気のないゲレンデに出た。
ローは板を手に取るとゲレンデに目を向けた。

「っ!!」

人気のないゲレンデにふらふらと滑り降りて来る人影を見付けて板を投げ出すと走り出した。

「○○!!」

「……」

ローが○○に駆け寄る。○○は顔色が悪く、抱き止めると力なくローに倒れ込んできた。

「○○!○○!!!クソッ!」

ローは焦りながら○○に叫ぶ。ローは○○を抱き抱えると走り出した。








「…………?」

○○は温かい部屋で目を覚ました。

「お前!大丈夫か?!」

○○が気付いてすぐにボニーがいた。

「あ、私のウェアは?」

○○はボーッとする頭を抱えながらボニーの顔を見てすぐに思い出した。

「あァ、待ってろ」

ボニーが干してあったウェアを取った。

「ありがとう、はい!これ!」

○○は嬉しそうに笑いながらウェアからピアスを取り出した。

「……」

「やっぱり転んだ木の所から少し離れてたよ」

○○はボニーにピアスを返せてホッとしたように息をついた。

「あれ?そう言えば私……?」

「……バカ!!!」

「え?!ご、ごめん!」

○○が滑り降りた途中で吹雪になったのだ。そう思って声を出すとボニーが怒ったように叫びながら○○に抱き付いた。

「謝るな!……悪かった、ごめん」

ボニーが照れを隠すために抱き付いたまま怒ったように言う。

「ううん、見付かって良かったね!ジュエリーさん!」

○○は嬉しそうに笑った。

「……他人行儀だな」

ボニーが顔を上げて真剣な顔をした。

「え?」

「だから!ボニーで良いって!その…………と、友達なんだろ?」

ボニーは照れたように顔を背けた。

「っ!!私も○○で良いよ!ボニー」

○○は可愛らしいボニーの態度に胸を高鳴らせながらにこりと笑った。

「宜しくな!」

「うん!!」

ボニーはホッとしたようににかりと笑い、○○はそれに答える様に頷いた。

「……そう言えば私どうしたんだっけ?」

○○は途中まで必死に降りてきて、その後を覚えてないと思った。

「あァ、トラファルガーが運んできた。ここ、今日泊まる部屋だ」

ボニーはベッドに座り直した。

「え?ロー君が?」

○○は驚いてボニーを見る。

「あんなトラファルガーは初めて見たよ!血相変えて出ていったと思ったら、すぐに○○を抱えて帰ってきた。それで車でここまで運んで……。ほら、あいつ医学部だしな。医者に見せるほどでもないって」

ボニーはこれまでの事を説明した。

「そうだったんだ……私ロー君にお礼言わなきゃ!」

○○は慌ててベッドから出た。

「……止めとけ」

「何で?!」

「メチャクチャ不機嫌だから」

ボニーはため息をついて声を出した。

「○○の事も診るだけ診て後は一人で部屋に閉じ籠ってた」

ボニーは向こうだとローの部屋をの方を指差した。

「他の連中は違う部屋でのんびりしてる。行くか?」

ボニーはそちらの方を指差した。

「うん」

○○は力なく頷いた。





「あ!大丈夫?」

いち早く気付いた優子が○○に声をかけた。

「うん!ご心配をおかけして……」

○○は申し訳なさそうに頭を下げた。

「良いさ。気分はどうだ?」

ペンギンが○○の顔色を診るように聞く。

「うん!もう大丈夫!……それで、あのロー君は?」

○○は困った顔をした。

「……」

「……」

「……」

エースと優子とペンギンが無言でひとつのドアを向いた。

「いや!でも今は止めとけ!」

シャチが慌てて○○を止めた。

「……でも」

「今のキャプテンには近付かない方が良い」

ペンギンも首を横に振った。

「ご機嫌斜めなローは面倒臭いからな」

エースもため息混じりに言う。

「それでも!ロー君にちゃんとお礼を言いたい!」

○○は力強く声を出す。

「……なら、好きにすると良い」

ペンギンは諦めた様に頷いた。

「何かあったら助けに行くからな!」

シャチが心配そうに声を出す。

「大丈夫だよ!ロー君にお礼を言うだけだから!」

○○はにこりと笑うと廊下に出た。








「……大丈夫かな?」

「……○○への態度は今までのキャプテンと違うからな」

「あんまり遅かったら殴り込む!」

「ぼ、ボニーちゃん……」

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