13
「「うわー!」」
○○と優子の声が重なった。
夜明け前にペンギンの運転する車で出発し、数時間かけてやって来たスキー場。
各々更衣室でウェアに着替えてゲレンデへ出た。
「凄い!雪だ!」
○○はキラキラとした目でゲレンデを見た。
スキーやスノボーで滑り降りる人が見える。
「なんだ、雪は珍しいのか?」
シャチがニヤリと笑いながら○○を見る。
「うん!スキー場は小学生以来なの!」
「あ!私も!」
○○が言うと優子も同じだと頷いた。
「去年行けなかったもんな」
エースがスノボーの板を担ぎながら優子の頭をポンっと叩いた。
「風邪引いたからね。エースは毎年来てるよね」
優子は残念そうにエースに言う。
「おう、ルフィとサボと来た」
エースと優子はすでに2人の世界に入っていた。
「俺達は北国生まれだからな!」
シャチがニヤリと親指を立てた。
「達?」
○○は不思議そうにシャチを見上げる。
「俺とーペンギンともちろんキャプテン!」
えっへんとシャチが胸を張る。
「そうなんだ!シャチ様とペンギンとロー君はその時から仲良いんだ!」
○○はキラキラとした目で3人を順番に眺める。
「まァ、昔からの仲間だ」
ローと目が合うと頷いた。
「へぇ!良いね!そう言うの!」
○○は少し羨ましそうにローを見上げた。
「……良いから行くぞ」
「わっ!」
ローが○○の白いふわふわの耳付き帽子を叩いた。
「じゃあ、まずは板履くぞ」
エースの号令に合わせてその場に座り込み板を履く。
「これで良いの?」
「いや、こう」
「え?こう?」
「そうそう」
エースと優子が先に履く。
「うわ!」
「おっと」
「あ、ありがとう……」
バランスを崩した優子を難なく抱き止めるエース。
「……良いなァ」
シャチが2人を羨ましそうに見る。
「おい、ボニー」
先程から黙ったままのボニーにペンギンが話しかける。
「……うわっ!!!」
ボニーが板を履くと派手にスッ転んだ。
「……」
「……」
「……」
「だ、大丈夫?!」
無言で驚くロー、ペンギン、シャチ。○○が慌ててボニーに声をかける。
「ウルセェ!!近寄るな!」
ボニーは顔を赤くして怒った。
「はぁー……ほら!」
シャチがボニーに手を貸すと力強く立ち上がらせた。
「初めてか?そうならそうと言えよなー!」
シャチは笑いながらボニーに教えていく。
「うるせェな!」
ボニーは怒鳴りながらも一人で立っている事すらままならず、シャチの手を離さないでいた。
「意外にお似合い」
「…………」
ペンギンの呟きにローは心の中で頷いた。
「わー!滑るー!」
○○の楽しそうな声にローとペンギンが振り返る。
緩やかな斜面を体勢を低く保った○○がゆっくりと滑る。
「残念でしたね、キャプテン」
「何がだ」
ペンギンの呟きにローは眉間にシワを寄せる。
「おォ!○○!センス良いな!」
ボニーの手を握りながらシャチが○○に声をかける。
「ありがとう!シャチ様!わっ!!」
○○が調子に乗ると背中から倒れた。
「っ!……」
ペンギンが飛び出そうとする前にローが固定していない足で地面を蹴っていた。
「……」
スーっと滑り、○○の元に向かうローをペンギンは感心する様に見た。
「……○○」
なかなか立ち上がろうとしない○○にローが声をかける。
「ロー君!山が白くて空が青い!」
○○は嬉しそうに笑うとローを見た。
「そうか。邪魔だから起きろ」
「っ!うん!」
ローの優しい顔に○○はドキドキとしながら差し出された手を取った。
午前中はエースが優子に、シャチとペンギンがボニーに、ローが○○にそれぞれスノーボードを教えていった。
「そっちはどうだ?優子は転けながらだけど斜面滑ってるぞ」
エースが大盛ラーメンとカレーのセットを頬被りながら言う。
「○○は滑ってる」
ローはおにぎりと豚汁セットを食べた。
「ボニーは…………」
「うるせェ!!黙るな!」
ボニーがペンギンを思いきり叩いた。
「痛ェ……」
「しかしボニーが滑れねェとは意外だよな!」
痛がるペンギンをチラリと見てからシャチが声を出す。
「確かにな。運動神経は悪くねェもんな」
エースも不思議そうにボニーを見る。
「うるせェな!ボードなんて余裕だろ!」
ボニーはふんっ!と鼻息荒く言う。
「 なら、大丈夫だな?」
ローが無感情な顔でボニーを見る。
「当たり前だろ!」
ボニーはパスタ大盛を頬被った。
「よし、これ食ったら頂上行くぞ」
ローは事も無げに言う。
「え?」
「ちょ、ロー君!それは……」
優子と○○が声を出す。
「わ、私もまだ慣れてないし!」
優子は慌てて声を出す。
「そうだよ!」
○○も激しく同意した。
「優子にはポートガス屋がいるだろ。○○には俺が付いててやる。お前にはペンギンとシャチを貸してやる。余裕なんだろ?」
ニヤリとローは挑戦的にボニーを見た。
「……当たり前だろ!」
ボニーは低く唸った。
「良し、習うより慣れろ、だ。気を楽にしろ」
ローはそう言うとおにぎりを口にいれた。
「ドSだ」
「な?」
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