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「確か思い出を作るために旅行すると言ってたな」

ローは静かに声を出した。

「そうです!みんなで最後に騒ぎましょう!」

シャチが嬉しそうに笑った。

「で、お前はこいつを連れて行くのに反対なんだな?」

ローは確認を取るようにボニーを見る。ボニーは不機嫌そうに頷いた。

「なら、お前達だけで行け」

「え?」

ローの言葉にシャチは固まる。

「それじゃあ意味がないです!!」

シャチは叫ぶ。ペンギンもうんうんと頷いてシャチに同意していた。

「そうだよ!キッド君達が一緒に行けないからこれ以上減ったら……」

優子も寂しそうに声を出す。

「俺はお前達とはたくさん思い出を作った。なら、こいつとはまだ作ってねェ。別に一生の別れじゃねェんだ」

ローは○○を親指で差しながら静かに言った。

「ろ、ロー君!」

○○は感動で鼻の頭がツーンとなった。

「……ローお前」

エースが本気で驚いて声を出した。
自分が優子と出会った気持ちがローにも生まれたのか?そんな疑問がエースの胸に生まれた。

「わかった。○○だっけ?お前も来い」

「エース!」

「テメェ!!」

エースの言葉に優子が喜びボニーが睨む。

「優子が皆で行きたいって言うんだ。仕方ねェだろ?俺は2人で良いのに」

エースは不機嫌そう言う。

「ここまでローが言うんだ。大丈夫だろ。いざとなれば俺が優子を守るそれで良いだろ?」

エースは優子の肩に手を置いた。

「エース!ありがとう!」

優子は嬉しそうにエースに笑った。

「と、言う訳だ。ボニーも良いだろう?」

ペンギンが最終確認をするようにボニーを見る。

「……わかったよ!ただし!変な動き見せたら問答無用でしめる!」

ボニーが○○を睨む様に宣言する。

「わ、わかりました!」

○○はコクコクと頭を縦に振った。

「でも、本当に良いのかな?」

○○がこっそりとペンギンに確認する。

「あァ。○○は堂々とキャプテンの隣にいろ」

ペンギンは柔らかく○○に笑った。

「うん!ありがとう、ペンギン!」

○○も嬉しそうににこりと笑った。

「じゃあ、人数は俺だろ、キャプテン、ペンギン、エース、優子、ボニー、そんで○○7人か」

シャチが確認するように言う。

「場所はスキー場でペンション借りた。後から一人増やしておくな!ペンギンの車で7人乗れるから夜出発!スタットレスも履き替えたからオーケーな。後はー」

幹事のシャチとペンギンで決まった事がどんどんと言い渡された。








「で、いきなり旅行行くの?」

友人が呆れた様に声を出す。

「うん!これを気にボニーさんとも仲良くなりたい!」

○○は気合いを入れてちらりとボニーが座る方を見た。ボニーは爆睡をしていた。

「スキーか、した事あるの?」

「小学生の時に」

「……」

友人はくすりと笑った。

「楽しそうで良かったわ。でも、あのメンバーって凄そうよね」

友人が指折りメンバーを数える。

「頑張って仲良くなってらっしゃい!」

「うん!」

○○は嬉しそうに笑うと実験の続きをするために立ち上がった。
卒業を控え、卒論を書くための実験を日夜していた。





実験を終えると時刻は午後10時近かった。
研究棟を出ると寒さが身に染みた。

「寒い……あ!ペンギン?!」

○○は見た顔を見付けて駆け出した。

「あァ○○か。今帰りか?」

ペンギンはふと表情を和らげて○○を振り返る。

「うん!追い込みだからね。終夜するほどでもないから今日は帰るよ」

○○は新しい友人が出来て嬉しそうに話す。

「そうか。俺も終わって帰るところだ」

ペンギンと○○は家が近い事が判明して一緒に帰路についた。ペンギンは自転車を押して帰る事にした。

「キャプテンには連絡をしたのか?」

「あ!そうだね!一応しとこう!」

○○は嬉しそうに携帯を取り出すとメールを送る。

「そうだ!私、スキーとか小学生以来で、ウェアとか無いんだけど、借りられる所なのかな?」

○○は思い出した様にペンギンを見上げながら聞く。

「あァ。板とウェア、ゴーグルとグローブは借りられる。下に着るインナーやレッグウォーマー、靴下は用意すると良い」

ペンギンは静かな声で白い息を吐きながら答える。

「……そっか、色々必要なんだね!」

○○は携帯でメモを取りながら頷いた。

「キャプテンに聞けば良い。詳しいからな」

ペンギンは楽しそうに笑うと前方を指差した。

「え?」

○○は不思議そうにそちらを見ると不機嫌そうにローが立っていた。

「え?ロー君?」

○○はローの姿を見て驚いた。

「じゃあな」

ペンギンは自転車に跨がると走り出した。

「あ!ペンギン!お休み!」

○○が手を振るとペンギンは片手を上げた。ローの横を通り過ぎる時に頭を下げていた。

「ロー君!」

○○は嬉しそうにローに近付いた。

「……」

「っ?!」

突然腕を引っ張られ引き寄せられた。そして触れるだけのキスをされる。

「俺以外の男にヘラヘラするな」

冷たい唇の感触に○○は心臓が高鳴った。

「ろ、ロー君のお友達でしょ?私も新しい友達が出来て嬉しいよ!」

○○は嬉しそうにローを見上げた。

「それでも、お前は俺のモノだ」

ローの射抜く様な視線にびくりとするが、妬き餅と取れば自然に体が熱くなった。

「う、ん。じゃあロー君も私のモノ?」

○○は差し出された手を自然に取った。

「それは無いな」

「えぇ?!」

○○の驚いた声にローはクククと楽しそうに笑った。





「……ペンギンの家から本当に近いな」

○○の家の前に着くとローがポツリと漏らした。

「そうなの?」

「あァ。あそこの灯りがついてる部屋だ」

アパートの一室を指でさした。

「本当に近い!」

○○は驚いて声を出した。

「じゃあな」

ローは部屋には入らずに手を離した。

「え?入らないの?」

「誘ってんのか?」

「……ち、違」

間髪入れずに聞くローに○○は顔を赤くした。

「悪いがこれから少し用がある」

「そ、そっか」

ローの言葉に○○は残念そうにした。

「……」

ローはそんな○○に自然と手を伸ばした。

「……」

「じゃあな」

ゆっくりと唇が重なると、すぐに離れた。

「ロー君、おやすみなさい」

○○は嬉しそうにローに手を振った。

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