08
○○は何とか1限の講義に間に合うと、真っ赤な顔のままそわそわとしていた。
「どうしたの?」
「じ、実は!!!」
○○は親友にごにょごにょと昨日からの事を語った。
「……良かったじゃない」
親友は惚けにやれやれと笑いながら聞いていた。
「それでか」
「なに?」
「いやね、あのグループがあんたが来る前『□□さんは?』って聞いてたから」
親友が指差す方を見ると昨日の可愛い女子が○○をチラチラと見ていた。
○○はにこりと笑って手を振ると女子は驚いてから教壇の方を向いた。
「……余裕ね」
親友はあきれた。
「そうじゃないけど、ただ、仲良くしたいのに」
○○は小さく呟いた。
「あのね、どこの世界に同じ男が好きな女2人が仲良く出来るのよ!」
親友は小声で怒った。その声に教授がジロリとこちらを見た。2人は体を小さく縮ませた。
「良い?取られたくなきゃ、頑張りなさい!浮気は嫌でしょ?」
「…………そっか」
親友の言葉に○○は頷くしかなかった。
1限の授業が終わり、友人やその他のほとんどの学生が研究室へと流れた。
卒論発表も近いせいだ。
○○も少し研究室へと寄ってから早めに学食へとやって来た。
「あ!おい!○○!!」
シャチに呼ばれ、○○はてくてくと近付いた。
「こんにちは!シャチ様!ペンギン……様?」
「ぶふっ!!!」
「ペンギン汚ねェ!!!」
○○の挨拶にペンギンが飲んでいたお茶を吹き出し、シャチが笑った。
「……なんだそれは?」
ペンギンは吹き出したお茶をタオルで拭きながら○○を見る。
「え?昨日シャチ様が」
○○は嬉しそうに笑い、シャチと2人で「ねー」と笑いあった。
「……俺の事はペンギンで良い」
ペンギンは頭を押さえながら言った。
「ペンギンくん?」
「呼び捨てでかまわない」
「……そう?じゃあ、ペンギン」
○○は嬉しそうににこりと笑った。
「そこ座れよ!」
シャチに促され、2人の向かい側に腰を下ろした。
「昨日はどうだった?」
シャチはニヤニヤと笑いながら○○に聞く。
「?あぁ!ローくんのお家に泊めてもらった」
○○は照れながら言う。
「おー!いきなりキャプテンの部屋!良いよな!カッコイイ部屋だよな!」
シャチはうんうんと頷いた。
「で、でさ!やっぱりキャプテンて上手いの?」
「?」
「シャチ、止めろ」
シャチのニヤニヤ笑いにペンギンが止めに入る。
「いーじゃん!聞きたいじゃん!!で?キャプテンって上手いの?気持ち良い?」
「え?なにが?」
「もちろん、せっく」
「シャーチ!!」
「痛っ!!」
シャチにペンギンが鉄拳を喰らわせる。
「あ!え、えーっと」
○○はようやく意味がわかり顔を真っ赤にする。
「良いぞ、答えなくて」
ペンギンはシャチを怒りながら○○に言う。
「あ、いや、昨日何もしてないからわからないの」
「「え?」」
○○の言葉にシャチとペンギンは固まった。
「は?え?何で?!」
シャチが驚いて声を出す。
「いや、その、せ、生理で」
「待て、そんな事言わせるな!」
ペンギンはおろおろとシャチを止める。
「一緒には寝たけど、してないから質問には答えられなくてすみません!」
と○○は2人に頭を下げた。
「えー!あのキャプテンが?!」
「…………本気なんだな」
シャチだけでなく、ペンギンまでもが驚いているようだ。
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