初詣はあなたと
三が日を過ぎたある日の早朝。
○○は近くの神社へとやって来た。
「あれ?」
○○は反対側から走って来る青い人影を見つけた。
「おはようございます、マイクロトフさん」
「おはようございます。早いですね」
肩にかかるタオルで軽く汗を拭きながらマイクロトフは爽やかな笑顔を向けた。
「はい!お正月は忙しくて初詣も出来なかったので、今。マイクロトフさんは朝の訓練ですか?」
「朝の訓練はこれからです。準備運動にと、50kmほど走って来たところです」
「……50……」
さすがの数字に○○は目を丸くした。
「初詣ですか、俺も行きましょう」
さすがは騎士、マイクロトフ。カミューほどではないにしろ、スマートなエスコートで、○○を神社の中へと促した。
チャリンーーーと音を立てて、コインは賽銭箱へと吸い込まれて行った。
まずは二礼。そして二拍手ーーー
「今年こそ、幸せになれますように!!」
そして、一礼
「なっ!!なら、俺が○○さんを幸せにしますよ!」
「えぇ?!」
○○の御願い事を聞いて、マイクロトフが大きな声で答える。
「……ほ、本気…ですか?」
○○は驚きから立ち上がれないままだが、何とか口を開いた。
「本気ですよ!」
顔を真っ赤にしながら、真剣な表情でマイクロトフは叫ぶ。
「……いや!いやいやいやいや!何か、ぷ、プロポーズみたいに…」
「俺は本気です」
混乱しきった○○とは対照的にマイクロトフは落ち着きを取り戻して来た。
「…順番が違いません?」
「じゃあ、交換日記から始めますか?」
「古っ!!」
マイクロトフの言葉についつい突っ込みを入れてしまう。
「……俺は、本気、です」
マイクロトフはゆっくり、真面目に声を出す。
「あ、の。じゃあ、とりあえず、お願いします」
「えぇ、俺に任せてください!」
マイクロトフの嬉しそうな声が、爽やかな空に吸い込まれて行った。