5年

あれから5年の月日が流れた。

マルコは白ひげのナンバー2として世界で活躍をし、ミミはマルコの秘書として影から彼を支えていた。


「昨日合コンに行ったんですよ」

ミミは仕事の合間にポツリと呟いた。

「……ほォ」

マルコはブラックコーヒーを飲みながら耳を傾けた。

「でも、結局話が合わなくて……。白ひげってだけで男の人が嫌遠しちゃうんですよねー。全く、どこかに度胸の座った良い男居ませんかね?」

ミミはため息をつく。

「なんだい、焦ってるのかよい?」

マルコは興味無さそうに聞く。

「まぁ、私もそろそろ良い年ですしね。友達も結婚するし……30までにはしたい!!」

ミミは拳を握った。

「へー、そうかい」

「良いですよね、マルコ専務は結婚とか興味無さそうですもんね。仕事が恋人?」

「…………まァ、ねい」

ニヤニヤと笑うミミにマルコは面倒臭そうに頷いた。

「最近入ったエースって子可愛いですよね!でも年下なんですよねー」

ミミはウキウキと楽しそうに新人の話をする。

「遊んでないで仕事しろい」

マルコは呆れながら声をかける。

「してますよー!専務がニューヨークに行ってた時も」

ミミは心外だとばかりに声を出す。

「帰りに買ってきてやったろい!マカダミアナッツ」

マルコはため息をつく。

「同じアメリカなんだから良いじゃないですか」

ミミがクスクスと笑いながら言う。

「距離はおかしいがねい。資料にサインしとけよい」

マルコは呆れながら資料の束を出す。

「はいはい、えー、『社食のランチ値上げのお知らせ』よし。えーっと『裏口のマット交換』これって業者入れるより、自分で変えた方が安くないですか?」

ミミはモビーディックビル内の事についての資料を見る。

「サッチ辺りにやさせるか」

マルコは頷きながら思案する。

「なら、これは用検討。後は……ずいぶん薄い紙ですね。えーっと婚姻届け?」

ミミは眉間にシワを寄せた。

「…………あの、マルコ専務」

「なんだい」

ミミの声に素知らぬ声を出す。

「夫になる人の所に専務の名前があります」

ミミは不思議そうにそこを指す。

「そうだねい」

「あ、オヤジの名前も」

ミミはマジマジと婚姻届を眺めた。

「どうするんですか?これ」

「サインしとけって言ったよい」

ミミの言葉にマルコはアッサリと返す。

「…………え?いや、いやいやいや!!」

ミミは慌てて首を振る。

「なにこれ?私と専務が結婚するって事ですか?!」

ミミが呆然と聞く。

「そうなるよい」

マルコは温くなったコーヒーを口に入れた。

「嫌ですよ!マルコ専務面倒臭いですもん!!」

ミミが慌てて否定的な答えを出す。

「あ?嫌なのかい?」

マルコは不思議そうにする。

「はい!」

ミミはきっぱりと頷いた。

「……はァ……」

マルコはミミの側まで行くとその手を取った。

「あの時、あいつに裏切られて辛い思いをしたのはたしかだ。だが、それを支えてくれたのは紛れもないミミ、お前だよい」

マルコの真剣な目にミミはドキリと胸が高鳴る。

「今度は俺が守る番だよい。結婚して欲しいよい」

マルコの優しい声と言葉と緊張した面持ちにミミの目から涙が溢れ落ちた。

「……待たせ過ぎです」

「悪かったよい」

「私、もう、マルコ専務諦めてて……」

「俺は諦めないよい」

マルコの力強い声にミミはマルコの手を握った。

「指輪はティファニーが良いです」

ミミは出来る限りの笑顔でそう答えた。






秘書として







「挙式はハワイかい?」

「ケーキはマカダミアナッツ?」

「……出来るのかよい?」

「さぁ?」

「大切にするよい」

「はい」

「浮気はするなよい」

「お互いにですよ」

「そうだねい」

「マルコ専務」

「ん?」

「今度は拒否しないで下さいね」

「当たり前だよい」

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