02

※出産シーンがございます。(ぼかしておりますが)苦手な方はご注意ください。無理をせず、一度戻っていただき、次のページを読むことをお勧めいたします。



















着替えを済ませ、陣痛室でその時を待っていた。

初産婦のせいか、陣痛間隔が減ってもまた増えたりと不規則であった。

「……まだかな……結構痛いんだけど」

玲奈は汗を拭きながら飲み物を口に含み口内を濡らした。
先程から同じ動作を繰り返しているが、ペットボトルの中身はさほど減っていなかった。

「はは、それだけ喋れればまだらしいぞ」

ベックマンは冗談を言うようにそっと呟いた。

「あぁ……こうして寝ているのも腰が辛いわ……」

玲奈は自分の腕を腰の下に敷きながら苦しそうに呟く。

「……ここか?」

「え?!」

ベックマンが椅子から立ち上がると玲奈の腰を擦るために近付く。

「い、良いよ!大丈夫です」

玲奈は慌ててベックマンを止めようとする。

「遠慮するな」

「え、遠慮と言うか……っ!」

その時、また陣痛が玲奈を襲う。

「ほら、息を吐け」

「っ!ふ、ふー……」

玲奈は体を横にし、ベックマンが腰や背中を押しながらゆっくりと深呼吸を促す。

「はーっ、はーっ、」

苦しそうな呼吸。胎児に空気が行かなくなるので、息を止めて痛みに耐えることが出来ず、何とか痛みを逃がそうと深呼吸を続ける。

「どう?」

医師がやってきて様子を伺う。

「うん、子宮口も8センチだし、分娩台に移動しようか」

医師の言葉に看護師達が車椅子を持ち、玲奈を分娩室へと連れていく。
自分で思っている以上に足に力が入らず玲奈は少なからず驚いた。

「旦那様もどうぞ」

看護師に促されベックマンはペットボトルなどを持ち、分娩室へと足を踏み入れた。

手術室の用な場所に椅子の様な分娩台。
玲奈は看護師に付き添われ、そこに寝かされた。

「付き添いの方は頭の方へ」

ベックマンは玲奈の頭の方へ移動する。

「産まれる瞬間を写真やビデオに納めたい方もいらっしゃると思いますが、当院は奥様を励ます方を推薦しております。産まれたら沢山写真やビデオに納めて下さいね」

優しく笑う看護師の言葉にベックマンはもっともだと思い頷いた。



陣痛がいよいよ強くなり、ベックマンはシャンクスに渡されたテニスボールを使い何とか2人で陣痛を乗り越えていく。



窓から入る日は既に高く、シャンクスのマンションから出てかなりの時間が過ぎた事が解った。

いよいよ分娩台に玲奈が縛り付けられて行く。

(こんなに時間と体力を使うのだな)

ベックマンの目に映る玲奈は既に体力をそうとう消耗している様に見えた。
医院で出された食事もほとんど手を付けずに終わった。

「では、次の痛みが来たらいきんでくださいねー」

間延びした医者の言葉に玲奈は小さく頷いた。

「では、……はい!息止めて!」

医者の言葉に合わせて玲奈はグッと力を入れる。

「頑張って、なるべく長く!」

医者の言葉に従いたいが玲奈は痛みに顔が歪むのが解った。







「はーい、頭出てきたよー」

「赤ちゃんも頑張ってるからねー」

「うん!上手くなってきたよー」

「よーし!もう少しだー」






「んぎゃぁぁぁ!おぎゃー!!」

何度いきんだか解らないが、いきむのを止め痛みに耐えていた玲奈は泣き声にハッと我に返った。

「ほー、元気だね、はい」

医者は生まれたての赤ちゃんを看護師に渡し、玲奈の産後の処置へと入る。

「あちらで赤ちゃんを洗ったり体重計りますよ」

看護師の言葉にベックマンは玲奈を一度撫でて「お疲れ様」と小さく呟くとそちらへと向かった。

血だらけの赤ちゃんを暖かいお湯で洗い、オムツを付けられるとそのまま体重計に乗せられた。その間ベックマンは何度もシャッターを切った。

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