03

素子とベックマンは一度自分達のマンションに帰り、さっそく出産準備をした。
バックの中にはパジャマやタオル、下着や子供の服なども入れ、準備万端になった。
そのバックを車のトランクに入れるとシャンクス達が待つマンションへ向かった。




「あー!ぶー」

○○は自分の口許へ運ばれてきたスプーンに乗っている柔らかいお粥を口に入れた。

「おー、今日はお出掛けもしたから良く食うなー」

食べさせていたシャンクスが感心したように声を出したながらお粥を口へと運ぶ。

「んー!んー!」

○○は上機嫌にお粥を食べながらシャンクスの持つスプーンを奪おうとする。

「お、いっちょ前に俺から物を奪うのか!」

シャンクスは楽しそうに笑いながらスプーンを奪われない様に力を入れる。

「だー!だー!」

○○は諦め切れない様に食べる事よりスプーンを奪うことに集中し始める。

「ったく、ほらよ。だがな、俺にはもうひとつあるのさ!」

シャンクスはアッサリとスプーンを○○に渡すともう1本用意していたスプーンに持ち代え、またお粥を食べさせる。

「……楽しそうで何よりだな」

ベックマンは呆れた様にシャンクスの行動を見守っていた。

「食事ひとつでこれだけ楽しいからな!」

だっはっはっ!とシャンクスは高らかに笑った。

「ご飯出来たよー!」

瑠奈がそう声をかけ、素子が食卓を台ブキンで拭く。

「今日は野菜たっぷりカレーだよ!それに焼き肉を少し!」

瑠奈は嬉しそうに盛った食事を並べていく。

「……なるほど」

シャンクスは何かを思い出したように頷いた。

「ん?何か特別なメニューなのか?」

ベックマンはシャンクスの反応を逃さずに聞いた。

「あァ、あれだろ?産む前に力付けろってやつだろ。後、ジンクス」

シャンクスは○○にすべてお粥を食べさせ終わると、手拭きで口の回りを綺麗にして遊び場へ下ろした。

「ジンクス?」

素子も不思議そうにシャンクスを見た。

「なんか、カレーと焼肉食べると産まれるってやつ」

シャンクスは自分の席に着きながら声を出す。

「後はこれ!」

並べ終わってから瑠奈は素子に茶色の小瓶を差し出した。

「オロ○ミンしー……」

瑠奈は苦笑しながらそれを手に取った。
親友が自分の為に色々と手助けをしてくれた事に胸が熱くなった。

「ありがとう瑠奈」

素子は驚くほど素直に笑った。

「っ!!う、うん!元気な子を産まなきゃね!さ!食べよ!」

瑠奈は顔を赤くさせながら早口で言った。

「顔赤いぞ」

シャンクスが瑠奈をからかうように笑った。

「っ!!もー!」

瑠奈はシャンクスに不服と口を尖らせた。







「…………」

「どうした?」

食事も終わり、○○も寝てしまいのんびりとしていると、ベックマが素子の様子を伺った。

「お腹……痛い」

素子は眉間にシワを寄せた。

「「「え?!」」」

瑠奈、シャンクス、ベックマンは驚きに声をあげた。

「…………あ、でも平気」

先程までも痛みが嘘の様に治まった。

「……」

「……」

シャンクスとベックマンが固まる。

「それって、陣痛じゃない?時間計ろう」

瑠奈が思い出したように時計を見た。









素敵で幸せな時間








「これが陣痛?」

「ふふ、これからもっと痛くなるよ」

「……頑張れ」

「社長の顔が引き吊ってるのが一番怖いですが……」

「そ、そんな事ねェよ!それよりベック!準備しろ」

「そうだな。一度部屋に帰って車を取ってくる」

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