02

「何辛気臭ェ顔してやがる」

シャンクスとマルコの後ろに立ったのは巨大な男だった。立派な白い髭が特徴的だ。

「……オヤジ」

「おォ、白ひげ」

マルコとシャンクスが同時に振り返る。

「クソ餓鬼どもが酒が不味くなるだろうが!!!」

グラララララと大きな声で白ひげが笑った。

「それがよー」

シャンクスがまた彼女との話をダラダラとし始める。
それに乗るようにマルコも同じだと頷き合う。






「え?」

「あ、え?!」

酒場の入り口でシロが驚きに声を出した。

初めは誰かに似てるなー、誰だってけー?と少女を見ていたらそれは自分だと気付いたのだ。
と、同時に少女からも声があがった。

「「わ、私がいる?!」」

シロと少女は同時に声を出し、同じ言葉が重なった。

「シロ!!」

「○○?!どうしたよい?!」

心配そうに走り寄ったのはシャンクスとマルコだ。

「シャンクス!」

「マルコ!」

シロと○○と呼ばれた少女がシャンクスとマルコを振り返る。

「……」

「……」

シャンクスとマルコが2人の少女を見て固まる。

「おォ!○○!お前、双子だったのか?」

後から付いてきた白ひげは楽しそうにニヤリと笑った。

「「双子……」」

シロと○○はお互いに顔を合わせた。

「シロは白いが○○ってのは黒いな」

シャンクスが染々と2人を見比べる。

「で、役者は揃った訳だ」

白ひげはふむふむと頷くと全員を酒場の外へと連れ出す。








「じゃあな」

「っ!!!」

「っテメ!!!」

「「キャッ!!!」」

白ひげが「フンッ!」と気合いを入れ腕で空間を叩く。すると突然大気が揺れ、崖の近くにいた4人はバラバラに海の方へと落とされる。

「うだうだと男がしてる酒場なんかじゃ酒が不味くなるだろうが」

白ひげはニヤリと笑うと酒場の方へと歩き出した。


シャンクスはシロを抱き寄せると庇いながら落ちていく。
マルコは不死鳥になると○○を捕まえる。

「熱っ!」

白ひげの出した地震の影響で熱い波がマルコ達を襲う。体に熱い水がかかったせいで能力者であるマルコの力が抜ける。
マルコは○○を抱き抱えたまま落ちていった。




「ぷはっ!……お湯?温泉か?」

シャンクスがシロを抱き抱えて水面に出た。

「しゃ、シャンクス!何なの?!これ!」

シロは足のつかない温泉でシャンクスに抱き付く。

「ったく、やってくれるな、あのジジィ」

シャンクスは落ちてきた崖の上を見上げた。

「登るのには骨が折れそうだな」

シャンクスは濡れた髪をかきあげた。

「あの2人いないね。大丈夫かな?」

シロはキョロリと辺りを見回す。静かで人の気配はしなかった。

「大丈夫だろ。あいつらも」

シャンクスは辺りを見回してシロがしっかり抱き付いているのを確認すると岸へと泳ぎ出した。







「っ!マルコ!!しっかりして!」

○○は何とかマルコを抱いたまま岸へと泳ぎついた。

「っぷはっ!! 悪ィ……」

マルコは岩に抱き付いて息をついた。

「オヤジも酷い事するわ」

○○は崖の上を仰ぎ見た。

「さて、取り合えずマルコを乾かさなきゃ。そうしたら飛んでいけるものね」

○○は枯れ木を拾い集めた。

「マルコ、ライター借りるよ」

マルコのポケットからオイルライターを取り出す。

「良かった。芯は濡れてないわ」

○○は手早く焚き火を用意した。

「マルコ!火に当たって!乾かさなきゃ!」

○○はマルコを焚き火の側へと追いやった。

「はァ……悪いない」

マルコは言いながら服を脱ぎ始める。

「っ!!ちょ!!マルコ?!」





「お前も脱げ」

「は?!や、嫌よ!」

シロはシャンクスから逃れる様に自分を抱き締めた。

「あのなー、そんな濡れた服をいつまでも着てたら風邪引くだろ!」

シャンクスは呆れたがらも何とか従わせようと詰め寄る。

「だ、だって……。くしゅっ!」

「ほら!」

シロのくしゃみに呆れた顔でシャンクスが言う。

「分かった。俺の事がそんなに嫌なら俺はそっちで風呂に入ってる。乾いたら呼んでくれ。それなら良いだろ?」

シャンクスはため息をつくと服を火の近くに干すと落ちた温泉の方へと姿を消した。

「……シャンクス」

凄く呆れていたシャンクスの顔にシロは不安になる。
自分にはコンプレックスがある。童顔な顔のせいでシャンクスが陰でロリコン呼ばわりされている事もしっている。
そして、胸の小さなせいで未だにシャンクスとベッドを共にできない負い目もある。

「……だって……」

街に行けば酒場に行く。そこには綺麗な女の人がたくさんいる。
自分より若いのに胸も大きく美しい女たちがシャンクスを色目で見る。

そんな女たちに囲まれたシャンクスがいざ自分を抱いたら幻滅するのではないか、それが心配でならない。







だが、このままでは本当にマルコが行ってしまう。とうとう○○に愛想をつかしてしまう。

「そ、そんなの……」

○○は意を決すると自分の服を脱いで焚き火の側にかけた。

「お風呂なんて、能力者なのに……!ごめんね!」

○○はマルコに追い付こうと走り出した。

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