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てくてくと言葉もなくエースと春日は夜道を歩く。ただ、繋いだ手が熱かった。

「……この前は母親が熱出してさ。ふらついてたから腕を貸した」

エースがポツポツと話し出した。

「……それで、腕組んでたんだ。…………それならそうとあの時に言ってくれたら良いのに」

春日もポツポツと静かな声で返す。

「……大の男が母親と腕組んで歩いてるのを彼女に見られたくないだろ……」

エースを見上げると珍しく顔を赤くしていた。

「……そっか……」

春日はそんな照れたエースを見て可愛いなと思った。

「で?」

「え?」

「俺は浮気なんてしなくねェ。あんな男と一緒にされたくない」

エースは不機嫌そうに声を出した。

「……あ」

春日は思い出した。エースに浮気や二股などと酷い言葉を投げ付けたのだ。

「ずっと好きだった女が失恋したとか聞いてさ、ショック受けたけどチャンスだと思った。やっと付き合えたのに拒まれるし、浮気とか言われるし」

エースは不貞腐れた様に口を尖らせた。

「ごめんなさい」

春日は歩みを止めると頭を下げた。

「失恋したのも、勘違いだったみたい。それに、エースを二股とか言ってごめん!出来たら許して」

「勘違い?」

エースは驚いた顔をして春日の言葉を遮る。

「あ、うん。あのね、エースがお母さんと歩いてるのを見て、彼女だって勘違いしたの」

春日は照れながら言葉を重ねた。

「そうだったのか」

「こんな、すぐに誤解して勘違いしちゃうんだけど、良かったらまた付き合って下さい!エースが大好きです!」

春日は頭を深々と下げる。エースは驚いてから、顔を赤くした。

「お、俺の方こそ今度はちゃんと説明するから付き合って下さい!俺も春日が大好きです!」

エースも同じように頭を深々と下げた。

「ふ」

「ぷ」

「「あははははは!!!」」

2人は同時に笑い出した。

「さて、今日は部屋は使えないからどーすっかなァ?」

エースは繋いだ手とは逆の手で顎を撫でる。

「そっか、部屋めちゃめちゃだったもんね。あ、なら家に来る?」

春日の言葉にエースは急に真面目な顔になる。

「誘ってるのか?」

「へ?!いや、ちが!」

春日が顔を真っ赤にしながら首を左右に激しく振る。
しかし、それを無視してエースは春日の腰に手を回すと強い力で引き寄せた。

「この前お預けんなった分も入るから、覚悟しろよ?」

エースはニヤリと笑った。








いけない事と分かっていて








「って!まだ帰って無かったのかよ!」

「だってね!エース!ロジャーが離してくれな」

「聞いてねェ!!!」

「何だ、意外にうぶなのか?」

「うるせェ」

「ぐはっ!冷静に冷たく言われた!!父ちゃんは悲しい!!」

「俺の親父は白ひげだ」

「…………ニューゲートめェェ!!!」

「オヤジに手ェ出したらただじゃおかねェからな」

「…………」

「ロジャー、隅っこでのの字書かないの!」

「だーー!!!もー!良いからいい加減かえれよ!!!」

「「えー」」

「えーじゃねェ!!!」

「息子が冷たい……」

「散々一緒にいたろ?!」

「ムスコが冷たい……」

「出ていけ」

「…………本気で冷たい!!!」

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