02

「これうめェェェェ!!!!」

ルフィが叫びながら口の中に料理を詰め込む。

「そりゃ俺のだよ!!!」

ウソップがルフィに取られた肉団子を見ながら突っ込む。

「料理はたくさんあるからいっぱい食べてねェ〜!!!」

店主がうふっと笑った。

「本当に美味しい!」

ナミが嬉しそうにフォークが進む。

「…………」

サンジは不機嫌そうに料理を口に運ぶ。

「しかし!こんな所でサンジきゅんに会えるだなんて!!運命だわ!!!」

店主が感動的にサンジの後ろに立つ。

「うっせェ!!!!俺の後ろに立つんじゃねェ!!!!」

サンジは後ろに立つ店主に回し蹴りを喰らわす。だが、店主はくるくると回りながらサンジの蹴りを華麗に避けた。

「んっ!!!も〜サンジきゅんったら!!!恥ずかしがり屋さ・ん!!!」

うふふと店主は笑った。
ちなみに店主は見た目おじさんが女装しているだけの人間だった。

「チッ!!!!」

サンジは苛立たしげに舌打ちをして乱暴に席に座り直した。

「良かったなァ、エロコック。モテて」

ゾロが無表情で酒を飲みながらポツリと呟く。

「テメェにやるよ!クソマリモ!!!!」

サンジは叫びながら野菜を口に放り込んだ。

「クソっ!!!本当にこの野菜は珍しくて旨いな……」

サンジは不機嫌だが料理人として珍しい野菜を味わった。

「そ・れ!珍しいでしょ?萌ちゃんって子が作ってるの!」

クスリと妖艶に店主は笑った。

「萌?って確か……」

ロビンが食事の手を止めて反応をした。

「アンタ達ショッピング街に行ったなら知ってるかしら?あそこに行く途中に畑が」

店主が説明を始めるとドアに付いた鈴がカラカランと鳴った。

「あら!噂をすれば!」

店主は大きく手を振った。
するとそれに気付いた萌が笑顔で店主に近付いた。

「マドモァーゼル!!!また会えたね!!嬉しいよ!!!」

サッとサンジが萌に近付いてその手を取った。
彼女は顔を赤く染め、顔を伏せた。

「……」

店主がサンジの手を退かすと手を素早く動かした。

「…………」

萌は、ホッとした様な落胆したような複雑な顔をした。

「おい!!!テメェ!!!何を萌さんに!!!?」

サンジは店主に詰め寄る。

「え?サンジきゅんは私の彼氏だから手を出さないでね!サンジきゅんは誰にでも優しいから!って言ったの」

店主はしれっと言う。

「テメェ!!!ふざけるな!!!違うんだ!萌さん!!!紙!!ペン!!!」

サンジが萌と意思の疎通を取ろうとメモを探す。

「あァ!!!クソっ!!!焦れったいな!!!」

サンジは焦りと苛立たしさを表に出した。

「…………」

萌はサンジの苛立たしさを感じて店主に何かを伝えると店の外へと足早に離れた。

「サンジくん、行っちゃったわよ?」

ナミが店のドアを指差す。

「えェ?!…………ハァ……」

サンジは力なく椅子にもたれ掛かった。

「用事があるから帰るとは言ってたけかど……サンジきゅんの態度で帰ったわね」

店主ははぁとため息を付いた。

「は?」

サンジは店主を睨み付ける。

「あの子、耳が聞こえないせいで色々あって。人の顔色うかがうのは得意になっちゃってるのよ」

店主はじっとサンジを見る。

「…………俺の態度のせいって事か……。あー!自分の言葉ですぐに言い表せないのって辛いな!!!」

サンジは苛立ちを静めようと煙草に火をつけた。

そして、店主を見た。

「そんなに見つめて!私なら暇よ」

気持ちの悪いハートマークが付きそうな語尾で店主はウインクをした。

「…………」

サンジは店主を睨み付けて、腹を決めた。

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