01
「島が見えたわよー!」
ナミの声にわらわらと集まってくる麦わらの一味。
「おー!今度はどんな島だぁ?!」
船長であるルフィが手で日傘を造り遠くの島を見た。
「この前は塩の島だったもの、真水がある島だと良いわ」
美しい顔でロビンがクスリと笑った。
「そうね。お風呂に入れないのは辛いわね」
ナミも難しい顔で頷いた。
「うまい肉あるかなァ?!」
ルフィがヨダレを滴ながらうはうはと笑った。
「俺は旨い酒があればいい」
ゾロが立ち上がりながら島に顔を向けた。
「ヨホホホホ!わたしはヴァイオリンの弦を調達したいですねー」
ブルックがヴァイオリンをケースに入れ、持ち上げた。
「アウッ!俺様はコーラだな!髪の毛がしぼんじまう!」
フランキーは言いながら舵を切った。
「俺は土だ!良い土が欲しいな!」
ウソップが土を入れる入れ物を首から下げた。
「俺は薬を調達したい!」
チョッパーがあれこれと書いたメモ帳を手に持った。
「俺はもちろん素敵なお嬢さんとお知り合いにー!!!!」
「聞いてねェよ、クソコック」
サンジの言葉に無表情なゾロが突っ込む。
「んだと?クソマリモ!!」
サンジがゾロに突っかかる。
「相変わらずね」
ロビンがクスクスと笑った。
それぞれ島に着き、大きな街にそれぞれ散らばって行く。
「ロビンちゃーん!ナミさぁーん!!向こうにショッピング街があるらしいよー!!!」
メロリンサンジが女性2人に声をかけた。
「そうなの?」
「フフ、行ってみる?」
「そうね、行こうかしら!」
ナミとロビンとサンジの3人はショッピング街へと歩き出した。
「っ!!!何て事だ!!こんな所に美しい天使が!!!!」
突然のサンジの声にロビンとナミがまたかとサンジを振り返る。
そこには畑仕事をしている女を見付けた。
しかし、サンジの声に何も反応をせず、ただひたすらに仕事をし続けていた。
街からショッピング街へと続く道の小さな畑。他には人がいなかった。
「美しいマドモァーゼル!!」
サンジは軽快な足取りで畑に入り、女の手を優しく掴むと立ち上がらせた。
「っ!!?!?」
女は驚いてサンジを見上げる。
「貴女と出会えた僕はもう悪魔に魂を売り渡しても良い!!!」
サンジは決め顔で女の顔を覗き込んだ。
「????」
女は不思議そうにサンジを見つめた。
そして、両手を素早く動かした。
「どうやら手話のようね」
ロビンが近付きながら声をかける。
「手話?と言うと、君は……」
サンジは呟きながらロビンから女に視線を移動させた。
「……」
女は土の付いた手を払うと、エプロンから手帳を取り出した。
「何?『私は耳が聞こえません』そうだったのか」
サンジは差し出されたページを読む。
「『何かご用意ですか?』ここに書いても?」
違うページを見せられ、サンジは女にジェスチャーで聞く。
「……」
女はこくりと頷いた。
「俺はサンジ。君の名前は?」
サンジは言いながら自分の書いた場所を女に見せる。
「『萌』さんか!何て素敵な名前なんだ!!!」
サンジは感動しながら声を出したが萌は不思議そうにサンタを見上げだけだった。
「『素敵な名前だね!僕と食事なんてどう?』」
サンジがさらさらとペンを走らせた。
「……っ!!」
そんな言葉を読んで萌の頬はみるみる赤くなる。
「『赤くなるなんて、可愛いね!まるで天使のようだ!』」
サンジが決め顔でそのページを見せる。
「っ!!」
萌は顔中を真っ赤にして慌てて手帳を取ると首を左右に激しく振った。
「今までに無い反応ね」
ロビンが冷静に言う。
「そうねー」
ナミもどうなるかと見ている。
「ふふ、とても可愛いよ」
サンジの手が萌の顔に近付く。
「っ!!」
萌は首まで真っ赤にしてその場から逃げるように去って行った。
「あららー、サンジくん残念ね」
クスリとナミが笑う。
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