02

それからシャンクスさんは暇さえあれば、と言う感じで私の部屋にやってきた。

厄介なのがトイレとお風呂場に鍵がない事で、私が見えないと必ず確認にドアを開ける。

「ちょっ!!お風呂場ならわかりますよね!!」

私が怒りながら近くにあった体を洗うようのタオルを引き寄せて体を隠す。

うん、意味無いけどね……。

「だっはっはっ!慌てちまって可愛いな!」

と、言いながら服に手をかけポイポイと脱いでいく。

「ちょっ!何してるんですか!」

「そんなの風呂に入るに決まってんだろ」

シャンクスさんはそんな事を言いながら、決して広くない湯船に無理矢理入ってきた。

私は追いやられる様に横向きになり何とか2人で入る。
狭いし、お湯は溢れるし……。

「何緊張してんだよ」

ニヤニヤと言う感じでシャンクスさんは私を見ていた。

「……」

私は開きかけた口を閉じた。
お風呂なんか普通一緒に入らないでしょ!

「良いだろ?いつも見てるんだ」

シャンクスさんは無言の私に言葉を重ねた。

「い、いつもって……。あ、明るいですし、普段とは状況が違います!」

私の怒る声にシャンクスさんはキョトンとする。

そして、何かを考えるように首を傾げた。

「……あ、なるほど!」

シャンクスさんがポンっと手を打つ。

「っ?!キャ!!」

急に手を引かれたと思ったら、ざばんっと言う音と共にあっと言う間に彼の膝の上に股がるように乗せられた。

「ちょっ!」

「したいんなら素直に言えよ」

「ど、どうしてそうなるんですか?!」

シャンクスさんのそれはそれは楽しそうに顔に思わず叫んでしまった。

「ほら、素直になれって」

「っ……」

そして、いつもの様にシャンクスさんに酔わされてしまうのです。











ここに来てもう何日、何ヵ月経っただろう。

日にちが経つにつれて、シャンクスさんがここに来る頻度も減っていった。

毎日が1日置きに。1日置きが3日に1日。1週間、2週間。

そして、今日で1ヶ月が経った。

「あー、暇」

私はテレビに飽きてベッドに身を投げ出した。

確か、来なくなった日に「生理が来ない」的な事を言ったからかな?次の日に来たんだけどね。

未だに廊下へと続く扉の鍵は食事を運んでくる人がかけていく。
あぁ、あのスパイだったベックマンさんや運転手だったヤソップさんかルーさんと言う人しか来ない。

話し相手もいないし私は暇だった。

「そろそろあの社長も大丈夫なんじゃないかなぁ?外に出たいよー。買い物したいよー」

私は不満を口にしながらベッドでゴロゴロと転がった。

誰も聞いてはくれないけど。

「っ!……寂しくなんて、ない、のにな」

私の目からはいつの間にか絶え間なく涙が落ちて行った。

「…………ぶちょ……」

名前を呼ぶのが悔しくて、何となく口からはそんな言葉が出た。


ーーカチャカチャ、ガチャ


「っ!!」

こんな時間に誰?

私の胸は知らず知らずの内に期待が高まって行った。

そして、ゆっくりと扉は開かれた。

錆び付いたドアは耳障りな音を立てた。

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