01

「っ!い、今何か飲ませた?」

高級車の中に軟禁され、革張りの後部座席で攻め立てられる中、キスの途中で何かを飲まされた。
何かの錠剤みたいだった。
やだ、変な薬だったら怖いんですけど…………。

「大丈夫、すこーし眠くなる薬だから」

シャンクス部長……じゃ、ないのか、シャンクスさんはにかりと怖い顔で笑った。

「え、やなんですけど、何でそんなの……」

怖いんですけど!何それ!?

「さすがに場所知られるのは、な」

シャンクスさんは困った様に笑った。

あ、何か、変な感じ。

「悪ィ」

シャンクスさんは動きを速める。
うわ、ダメだ。









「…………うーん」

何だか凄く長い夢を見ていた気がする。
私は使い慣れたベッドで寝ていた。

「……夢?」

私はまだ頭はクラクラしていたけど、周りを見渡した。
使い慣れた私のアパートの部屋だ。
ベッドも洋服ダンスもこたつ付きテーブルも本棚もカーテンも。

……なのに

「何?この違和感」

私は今朝来た勝負スーツのまま寝ていた様だ。
フラフラと立ち上がり、カーテンを開ける。

「…………窓、小さい」

おかしい。私の部屋の窓はもう少し大きかったはず。
それに窓を開けようとしたが、鍵が見当たらない。

「なんで嵌め込み式?」

開ける事も外す事も出来ない窓がひとつだけだった。

「……まさか」

私は玄関だと思っていた所へ向かう。
ただのドアがあるだけ。

「嘘でしょ?!開けて!!!」

こちらは鍵穴はあるが、こちらからは開けられないドアになっていた。
何で?ちょっと、なにここ!?
私のアパートに似て非なる場所。
使っていた家具は恐らく私の物。
傷まで再現させた別の物と言う事もあるけど、そんな面倒で細かい事はしないだろう。

試しにトイレや風呂場と思われる所も開ける。

こちらには鍵がなかった。

いや!おかしいよね!?普通トイレにはさすがに鍵あるよね?!
しかもやっぱり窓はないし!

私はこの部屋ただひとつの嵌め込み式窓を叩いた。
何か変な感じ。
悔しくて、近くに有った辞書で割れても良いと叩いた。


ーーぐわぁん


「え?」

傷ひとつ付かなかった。

「っ!!」

私は怖くなって椅子を持ち上げて、思いきりうちつけた。

「…………嘘でしょ?」

私はその場に崩れ落ちた。

そう、窓には傷ひとつ付かなかった。


ーーガチャ、ギィィ


玄関だと思っていたドアの鍵が開き、ドアが開いた。

「暴れてるのか?」

シャンクスさんが苦笑混じりで入ってきた。

「っ!!何ここ?!どこですか?私を家に帰して!!」

私なシャンクスさんの笑顔を睨み付けた。

「残念だが、そいつは無理だ。KATINKAのアパートは契約を解除しちまった。まァ、中の物は全部運ばせたが、何かなくなってるか?」

シャンクスさんは当たり前の様に口を開いた。

は?意味が分からない。

「っ何を勝手な!!」

怒りで割れを忘れて叫ぶ。

「いやさ、本当はあの社長を陥れる為に寄ってきた女を使うつもりだったんだけどよ。KATINKAが気に入っちまってさ、つい。んで、連れてきた」

シャンクスさんは照れたように笑った。

「ここは監禁部屋だが、防弾ガラスもついてるから、一番安全なんだよ。それに、あのアパートと似てるだろ?風呂とトイレも付いてるから一番優遇だぞ?」

意味が分からない。何も理解できないよ!

「か、監禁って!わ、私をどうするつもりですか?!用済みでしょ?なら、早く解放してよ!」

私は混乱よりも怒りが先に来ていた。

「嫌だ。お前、俺と別れて可愛いくらい泣いたろ?今度は離れねェから大丈夫だ」

シャンクスさんはにかりと笑った。
なんだろう、会話が噛み合わない。

「シャンクスさんが私を使ったのは分かりました。捨ててくれて構わないので、ここから出して下さい!」

私はシャンクスさんを睨み上げた。

「……この部屋を出たいのは構わないが、俺が女をここに連れてきたの初めてでさ、快く思わない奴もいるかも知れねェ。死にたくなけりゃ、出ない事を進める」

シャンクスさんの怖い笑顔が私を貫いた。

「…………」

私は背中に冷や汗を感じた。
今ここを出たら冗談なく殺されそう。
それか、臓器売られそう…………。

「分かれば良い」

私が大人しくベッドに座り込んだのを見て、シャンクスさんは満足そうに頷いた。

私はベッドの上で膝を抱えた。シャンクスさんは先程防弾ガラスにぶつけた椅子に腰を下ろした。

「…………わ、私はずっとここから出られないんですか?」

私の声は気付けば泣きそうだった。
ヤバイ、鼻がツンッてする。

「別にずっとじゃねェよ」

シャンクスさんの声はどこか安心させる響きだった。

「取り合えず、あの社長がお前を逆恨みして何かして来ないとも限らねェからな。まァ、少しの間ここで大人しくしててくれ」

「…………はい」

シャンクスさんが私の事を思ってくれていたのが分かり、少し嬉しくなった。

監禁も甘んじて受け入れよう。

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