02

「…………頭痛い」

○○は目を覚ます。
昨夜は酒を飲み過ぎたらしく、二日酔いで頭痛がした。

そのせいか、体もだるい。

「……あ、れ?」

○○は辺りを見回す。

見た事の無い部屋。
一瞬ホテルかと思ったが、そうではなく、個人宅のようだ。
それほどに生活感が無かった。


「っ!!」

○○は一気に覚醒すると顔を青くする。

(着てない!下着も!)

○○は嫌な予感がして、ベッドを見る。

(っ?!だ、誰?!)

広いベッドに少し距離を置いて背をこちらに向け寝ているのは、明らかに男のそれ。

不思議な金色の髪が呼吸に合わせて揺れている。

○○は慌ててゴミ箱を覗くと大量のくず紙。

(っ!!!ま、まさか!)

○○の頭は真っ白になる。
しかも、腹を触ると拭いてはあるが、少し粘つくなにか。

(…………嘘でしょ……)

○○は服を拾い集めバスルームらしき場所に入る。

熱いシャワーを浴び、気持ちを落ち着かせる。

酒に酔って記憶を無くすなど、大学生以来の失態。

加えて、まさか、知らない男と一夜を共にするなど……初めての経験だ。

「困った。全く覚えてない」

○○はシャワーを浴びながらぽつりと呟いた。
言葉にすると、急に実感がわき、怖くなる。

(どんな人だろ。酔った女を抱く位だからなぁ。後腐れ無いと良いけど)

はぁとため息をついた。

シャワーを済ませ、勝手にタオルを拝借し、着替える。

時計を見るとまだ6時。

(ここがどこだか分からないけど、あんまり離れてないよね?なら、着替えて出社出来る!)

○○はよしと自分を奮い立たせるとバスルームを出た。

「……」

男はまだ眠っている様で、静かに自分の荷物を探す。
バッグを見付けると中身を確認。

(ある。あれ?財布の中身減ってない……)

あれだけ飲んだのに、払わないで出てしまったのだろうか。

○○は取り合えずそれを持ち、立ち上がる。

「…………今、何時だい?」

「っ!!」

急に聞こえた男の声にドキリと心臓が飛び出そうになった。

「え?えっと……6時過ぎ」

○○は何とかそう答える。

「そうかい。帰るのかよい」

男は特に興味無さそう聞く。

「う、うん。着替えて会社行かないと」

○○はなるべく平常心に答える。
あまり表に動揺を出したくない。

「そうかい。送ろう」

男がベッドから抜け出し、服を着込む。
○○は慌てて後ろを向く。

「い、イイです!大丈夫」

○○は慌てて首を横に振る。

「……そうかい」

男は部屋を歩く。
不思議な髪型がふわりと動く。

「あの、では、失礼します。シャワーありがとうございました」

○○はぺこりと頭を下げて玄関だろう場所に足を向ける。

「あァ、これ」

男はメモ用紙に何かを書いて渡す。

「……え?」

「何かあったら、電話しろい」

どうやら、電話番号とメールアドレスらしい。
それを受け取ろうとしない○○のバッグに詰め込んだ。

「では、さようなら」

○○は自分の靴を履くとその部屋から逃げ出した。







「マルコー!おはよう!」

「おう」

「ん?機嫌良いのか?」

「さあねい」

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