初夢の時間
まだ薄暗い中、マルコは目を覚ました。
時計を見ると時刻は午前6時過ぎ。
同じベッドで眠る○○を引き寄せて、その腕に抱く。
首筋に顔を埋めてペロリと舐める。
「ん……」
小さく声を出し、嫌そうに顔をしかめる姿を楽しそうに見るマルコ。
「○○」
そう言えば昨夜は正月休みとの事もあり、2人で遅くまで酒を飲んだ。
普段あまり飲まない○○も口当たりの良い日本酒をちょこちょこと飲んでいた。
酔った所をベッドへと組み敷いたのだ。
「○○」
「ん?」
耳元でもう一度声をかける。
今度は確実に反応があり、マルコはついニヤリと笑った。
「おはよう」
マルコが声を出す。
「………………え?」
○○はたっぷり数秒間固まってから、声を漏らした。
「っ?!痛っ……」
○○はがばりと起き上がる。その拍子に二日酔いのせいか、頭痛がして頭を押さえた。
「あれだけ飲めば痛いだろうよい」
マルコは呆れながら上半身を起こした。
「え?誰?ってか、服は?」
○○は慌てながら自分の姿を見て布団をかぶる。
「は?」
マルコは呆れながら○○を見る。
「あ、貴方誰ですか?ここは……まさか貴方の部屋?」
○○はキョロキョロと冷や汗混じりで辺りを見回す。
「…………何を言ってるんだよい」
マルコは思いきり眉間にシワを寄せた。
「え?あの、すみません。昨日の事全然覚えてなくて……」
○○は困った様に声を出す。
「ここは俺とお前の部屋だろい」
マルコは低い声で言う。
「は?え?…………御冗談を」
○○は半分怯えながら声を出す。
「あァ?」
「ひぃぃいい」
マルコのどすの利いた声に悲鳴を上げる。
「ま、待って下さい!わ、私本当に覚えてなくて!」
○○はそろりとベッド降りてマルコとの距離を取る。
「お前ェは俺の事を覚えてねェのかよい……」
「…………全く……」
○○は素早く服を身に付けながら頷いた。
「…………そうかよい」
マルコは無表情で呟いた。
「……あ、あの、帰ります」
○○はペコリと頭を下げた。
「っ?!」
「悪いが、今度は逃がさねェよい」
マルコは○○の手を乱暴に掴み、ベッドに押し倒した。
乱暴に唇を重ね、胸を強く揉む。
「起きて下さい」
○○の顔は必死だが、声はのんびりとしていた。
「は?俺は起きてるだろうが」
マルコは不機嫌な声を出す。
「マルコさん!起きて下さい!お餅がとけちゃいますよ!」
○○に揺さぶられマルコは目を開けた。
「おはようございます!今日は初詣に行くって言ったじゃないですか!」
○○は少し頬を膨らませる。
「あ?…………お前、俺の事を覚えているのかよい?」
マルコは無表情で呟いた。
「何言ってるんですか?マルコさん!寝惚けてるんですか?」
○○は呆れながらマルコを見た。
「そうか……」
マルコは深くため息をついた。
「早く起きてっ?!」
勢いよく手を引かれ○○はベッドに引き摺り込まれた。
「ま、マルコ……さん?」
滅多に怒る事の無いマルコの少し怒った様な顔に見下ろされ、恐る恐る声を出す○○。
「悪ィが、落とし前着けさせて貰うよい」
マルコはニヤリと笑った。
「え?嫌です!!お餅が!初詣が!!」
○○はじたばたと暴れる。
「逃がせるはずもねェない」
「おい、○○。そろそろ初詣に行くよい。初夢がこう悪くちゃ気分が悪ィからねい」
「ちょ、無理です!体が動きませんって」
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