その後の時間
「ただいまよい」
「お帰りなさい!」
2人で暮らし始めて早数ヵ月。
殆ど先に帰るのは○○。
今日も○○がマルコを出迎える。
「今日の夕飯はカレーだよ!カツカレー」
○○は嬉しそうに笑った。
「それは楽しみだよい」
マルコはスーツのネクタイを片手で緩めながら声を出す。
「この前は福神漬け忘れちゃったから、今日はちゃんと用意したの」
「はは、福神漬け無くて絶望した顔はかなり見物だったねい」
マルコが思い出した様にニヤリと笑った。
「それは、忘れてクダサイ」
○○は口を尖らせた。
2人は食事を済ませると風呂に入り、のんびりと過ごす。
「あ!そう言えば、サッチさんから荷物が届いたよ」
○○はそう言いながら荷物を置いた部屋へと足を向ける。
「サッチが?会社で渡せば良いものを。開けて中身だけ持ってきてくれるかい?」
「はーい!」
マルコの言葉に○○は素直に返事をする。
暫く経っても○○が帰って来ない。
「○○?」
マルコは座ったまま声を出す。
煙草に火をつけずに口にくわえる。
しかし、返事はない。
「おーい?」
何をしているのか不思議に思いながら○○を呼ぶ。
「……マルコさん……」
ようやく返ってきた○○の声に不思議そうに振り返る。
「………………」
マルコは口に挟んだ煙草をぽろりと落とした。
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………これは、マルコさんの趣味?」
○○がおずおずと居間に入って来る。
「………………」
マルコは驚いた顔のままそろりと立ち上がる。
「いや、何か言ってくださいよ」
○○は自分の姿を見下ろした。
○○はセーラー服姿だ。
スカートはもちろんミニ。
「…………サッチ……」
マルコは怒りだか、喜びだか、複雑な心境でイライラと小さく声を出した。
「あ、これ、サッチさんからお手紙です」
○○は手紙を差し出す。
「っ!!」
その姿はまるで、初めて出会った時の様で、マルコの心臓を締め付けた。
「……マルコさん?」
「……あ、あァ」
無理矢理呪縛を解き、受け取とりるとマルコは手紙を読む。
「……何て書いてあるんですか?」
○○は覗き込もうと、背伸びする。
「……あの、野郎……」
マルコは低い声で唸りながら手紙を乱暴に握る。
「…………マルコさん」
○○は不安そうにマルコを呼ぶ。
「ん?」
「嫌なら脱ぎます?」
○○はスカートの裾を持ち上げた。
「………………よい」
マルコは弱々しく声を出す。
顔は心なしか赤くなっている。
「…………じゃあ、……このまま……します?」
○○は照れた顔のまま恥ずかしそうに、クスクスと笑いながらマルコを見上げる。
女は度胸だ。
「っ!…………あー。……あの時の○○を穢しちまいそうだよい」
マルコは眉間にシワを寄せ困った顔をする。
「じゃあ、脱ぎます?」
○○はもう一度頭を傾げた。
「……………………」
マルコは理性と本能の間で闘っていた。
「わ、私は良いです……よ?」
○○は照れながらもマルコをそっと抱き締めた。
「わっ!」
突然抱き上げられ、○○は驚きに目を見開く。
「悪いが、手加減は出来ねェよい」
マルコはニヤリと笑った。
「ふふ、お好きな様に」
○○はマルコの首に腕を巻き付けた。
「テメェ、サッチ!!!」
「お!マルコ!!プレゼントは気に入ったかい?」
「うるせェよい!」
「なんだよ?オヤジに聞いてそれが良いって言ってたんだぞ!」
「お、オヤジ?!」
「おい、マルコ。オヤジが知らないとでも思ってたのか?」
「………………さすが、オヤジだよい」
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