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マルコの後をついて歩く。

先程とは違う重役専用エレベータに乗り、さらに上の階を目指す。

○○は緊張しきった顔でマルコの後を無言で付いて行く。

「そんなに緊張する事かい?」

マルコは苦笑を浮かべながら○○をチラリと振り返る。

「そ、そりゃ!白髭の社長って言ったらテレビでも見るくらいに有名人ですからね」

○○はカラカラに乾いた喉を必死で潤そうとごくりと喉を鳴らす。

「まァねい」

マルコはニヤリと笑う。

「噂では体調悪く、そろそろ社長の役を降りて会長になられるとか」

○○はマルコを見返す。

「あァ、…………まァそうかもねい」

マルコは少し元気無さそうに頷いた。

(尊敬している人の体調が悪いのだから、その反応は妥当かしら)

○○は心の中で納得する。









2人はとてつもなく大きな、そして豪奢な扉の前にいた。




ーーコンコン




「オヤジ!入るよい」

マルコは乱暴にドアを叩いた。

「入れ!バカ息子」

グララララと言う豪快な笑い声がドアの向こうから聞こえてきた。

ガチャリと音を立ててマルコがドアを開けた。

中には大きな人が、これまた大きな立派な三日月型の白い髭をつけて椅子に座っていた。

「こちら、ーー社の□□さんだよい」

マルコは隣の○○を紹介する。

「は、初めまして、□□○○と申します。お会いできて光栄です」

○○はぺこりと頭を下げる。

「グララララ!エドワード・ニューゲードだ」

白髭は豪快に笑った。

「オヤジ、これが契約書だ」

マルコが契約書を渡す。
白髭はそれを受け取り読む。

(契約書……小さかったかな……)

極一般的な大きさだが、彼が持つには小さすぎた。

(……はっ!もし、これでダメなら、マルコさんの7日間はなんだったんだろう?)

○○はマルコと白髭を不安そうに見比べた。

その視線に気付いたマルコは「大丈夫」と笑った。

「おい、マルコ」

「なんだよい」

マルコが白髭を見上げる。

「お前はこれで良いのか?」

白髭は探る様にマルコを見る。

「あァ」

マルコは頷いた。

「グララララ!なら、俺は判子を押すだけだな」

白髭はそう言って、机の引き出しから判子を取り出し、押した。

「ほれ」

「あ!ありがとうございます!今後とも宜しくお願いします!!」

白髭から契約書を受け取ると、○○は嬉しそうに笑った。

「時に○○」

「は、はい?」

白髭に名を呼ばれ、見上げる。

「お前さん、この会社に来るかい?」

白髭はニヤリと笑う。

「オヤジ……」

マルコは驚いて白髭を見上げる。

「…………勿体無い程のお言葉ありがとうございます」

○○は驚きながらも頭を下げる。

「ですが、私はまだあの会社で何も獲ていません。この取引が上手く行って、成果を出したい。ですので、せっかくの申し出ですが、お断りします」

○○は真剣な顔で言い切った。

「天下の白髭を振るのか?」

白髭はニヤリと笑う。

「えぇ」

○○は精一杯笑った。

「グララララ!!!ますます気に入った!!!お前さん、俺の娘になるか?」

白髭は豪快に笑った。

「は?」

○○は不思議そうに首を傾ける。

「悪いがオヤジ」

マルコはすっと白髭と○○の間に立つ。

「いくらオヤジでも、それはいただけねェよい」

マルコがニヤリと笑う。

「…………なるほどな」

白髭はニヤリと笑う。

「遅かれ早かれ俺の娘になる事には変わりねェ様だな」

白髭はマルコと○○を見比べた。

「そうだねい」

マルコもニヤリと笑った。











「ようやく孫が見れるか?」

「任せておけよい」

「俺は大家族が好きだ」

「嫌ってほど見せてやるよい」

「…………え?どう言う事?!」

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