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ーーピリリリリ
携帯の着信が鳴り、画面に愛しい○○の名前。
「どうしたよい?」
マルコは電話に出る。
『マルコさん?!あの!今から私行きますから!』
ーーピーピーピー
電池切れを知らせる警告音。
ーーぷっプープー
「なんだよい?」
マルコは不思議そうに携帯を見つめる。
(そんなに会いたいのかねい?)
マルコは、まァいいと納得する。
何かあっただろうが、ここに来ると言った○○を信用する事にした。
ーープルルルル
内線を知らせる備え付けの電話の呼び出し音が響く。
「どうしたよい?」
『4時にアポを取られた方がいらっしゃいました』
(ん?)
まだ早い。マルコは不思議に思ったが、通せと答える。
数分後、やって来た男に大体の意味を理解した。
「誰だい?」
マルコは男に聞く。
「ーー会社のネズミだ。契約を結びに来た。大切な取引だ。部下に任せきりでは行くまい」
ニヤニヤと笑う男にマルコもニヤニヤとソファーの背もたれに体重をかけた。
(なるほど、こいつが赤髪ん所の契約を潰した奴か)
こいつのお陰で○○と上手く行ったと思いながらも何を言い出すのかとマルコは待つ。
「契約書を持参してきた。目を通していただきたい」
ネズミの取り出した契約書を受け取る。
内容は酷いものだった。
「はっ!これで結べと?」
マルコは嘲りの表情でネズミを見る。
断る事なく煙草に火をつける。
「ふふ、うちの大事な部下に手を出して良く言えたものだ」
ネズミはニヤリと笑う。
「あァ?!」
マルコの凶悪な顔にめげる事なくネズミは笑った。
「ふふ、証拠ならある」
ネズミはそう言いながらニヤリと封筒を取り出し、それをテーブルへと投げた。
「……」
一応それに手を伸ばし、中身を確認する。
「どうた?」
ネズミはニヤリと笑いながらマルコの無表情を見る。
「これはなんだよい」
マルコは写真をテーブルへ投げた。
それらは見ようによっては、マルコが無理矢理○○の肩を抱いている風に取れる構図で写っている写真だった。
「それが事実だろう?俺の甥が撮った物だ」
ネズミはニヤニヤと笑った。
「あの、ストーカー野郎はお前の甥っ子かい」
マルコは鋭い視線をネズミに向ける。
「ふふ、俺は警察にも伝があってね。あんたの言う事と俺の言う事。どちらを信じるかね?」
ネズミは勝ち誇った様に言う。
「はっ!それで?この契約書かい?」
マルコは写真の上に契約書をポイと投げる。
「素直に結んでおいた方が身のためだ」
ネズミは自分の優勢を疑わずにニヤリと笑う。
「あァ、そうだな」
マルコがコンコンと合図を送る。
ーーガチャリ
「どうした?マルコ」
「あれ?○○ちゃんじゃねェじゃん!」
部屋に入って来たのはイゾウとサッチ。
「どうやらお客さんはお帰りのようだよい」
マルコはソファーから立ち上がる。
「なっ?!」
ネズミは驚いてマルコを見る。
「へぇ」
イゾウは目をすっと細める。
「解ってるのか?!今ここで俺と契約しないと!」
「本物の契約書は○○が持ってくる。それは要らねェな」
マルコはニヤリと笑う。
「貴様!!!どうなるのか解ってるのか?!」
ネズミは顔を赤くして怒りに震える。
「はっ!!ここは白髭。決めるのはオヤジ。逆らうものは………………解ってるな?」
マルコはニヤリと恐ろしい笑顔でネズミを見る。
「っ!!!」
ネズミは青い顔をする。
「あァ、後、お前さんの無能っぷりはそっちの会社の社長に言ってあるよい。赤髪からもねい」
「っ!!!」
マルコの言葉は死の宣告の様にネズミの頭に染み込んで言った。
「ほれ!行くぞ!」
「宜しく頼むよい」
「ふふ、任せておけ」
「貴様ら!!おぼえておけ!!」
(((つまらねェ捨て台詞だな)))
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[mokuji]
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