21
朝起きると当然の様に2人一緒にベッドで寝ていた。
しかし、宣言通りマルコは○○に指一本触れなかった。
「おはようございます」
目を覚ましたマルコににこりと笑った。
「おはよう」
マルコはあくびを噛み殺した。
「あれ?眠れてないんですか?」
「当たり前だろい。好きな女が隣でスヤスヤしてんのに、どうやって寝ろって言うんだい」
マルコは呆れた様に笑う。
「ふふ、良く頑張りました」
○○はクスクスと金髪を優しく撫でた。
「今日、4時に会社に来い。それまでに予定は全て片付けておくよい」
ニヤリと笑うマルコ。
「わかりました!楽しみにしています」
○○は楽しそうに頷いた。
「ほう!今日な!」
上司は上機嫌で言う。
「はい。16時に白髭に行くように言われました」
○○はにこりと上司に報告する。
「そうか。なら、その後は直帰で良いぞ。明日ちゃんと書類を持ってくれば良いからな」
上司はうんうんと頷いた。
「わかりました!ありがとうございます」
○○はお辞儀をすると、上司のデスクを離れた。
「ふふふ!大切な取引!部下に任せておく訳には行かないな」
ニヤニヤと柱の陰から話を聞いていたのは、赤髪との契約を丸潰れにした張本人。ネズミだった。
「そうか、上手く行きそうなのだな」
ハンコックが表情を和らげた。
「うん!本当にハンコックとロビンにはお世話になりました!」
○○は座ったまま頭を下げる。
「ふふ、○○の実力でしょ?」
ロビンが楽しそうに笑う。
「ありがとう」
○○は少し恥ずかしそうに笑った。
「そうじゃな。しかし、礼ならばこれじゃな」
ハンコックはひょいと○○のお弁当箱から卵焼きをくすねる。
「あ!」
「なら、私も」
笑いながらロビンも唐揚げをひょいとつまみ上げる。
「っ!!ロビンまで!!」
ショックを受けながらもクスクスと笑う3人。
「でも、何もないと良いわね」
もぐもぐと飲み込んだ後、ロビンが言う。
「………………まさか!」
○○は不安そうに言う。
「まァ、注意は怠らない事じゃな」
ハンコックも頷いた。
「………………そうだね」
○○は少し困った顔で頷いた。
(よし!3時!そろそろ)
○○は帰り支度を始める。
化粧室で化粧を直し、身だしなみを整える。
「よし!」
○○は上司のデスクに近付く。
「では!行ってまいります!」
○○は上司に言う。
「あァ、その事なんだが。代わりの人間が行ったようだぞ」
「は?え?…………まさか!」
上司はメモ用紙を持ち上げ、眼鏡をずらす。
「ネズミ係長が行ったようだ」
「っ!!!!」
「あ!おい!!!」
○○は上司の言葉を聞いて、上司の制止を無視し、走り出した。
後ろでロビンが上司に説明しているのが聞こえる。
(ロビン!お礼は今度!!)
○○は必死に走る。
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