19
「あら、本当に大変だったのね」
ロビンは美しい顔を驚きに変えた。
「全く!あの方意外の男など、信用すら出来んのぅ」
ハンコックは美しい眉間にシワを寄せる。
「うん。でも、マルコさんとはもっと近くになれた気がする」
○○は赤い顔でにこりと笑った。
「あらあら、妬けちゃうわ」
ロビンは嬉しそうに笑った。
「○○が幸せであればそれで良いな」
ハンコックもにこりと優しく笑った。
「で?今日は?」
「うん、午前中だけ仕事して、午後は警察に行ってくる」
「一人でって、事は無いわね?」
「うん。マルコさんにも行ってもらう。その場にいたし、心強いし」
○○は幸せそうな顔をした。
「ふふ、○○のそう言う顔見れて私も嬉しいわ」
ロビンは柔らかく微笑んだ。
「気を付けて行くのじゃぞ」
ハンコックも柔らかく微笑んだ。
「ありがとう!2人共!!」
○○は嬉しそうに笑った。
「…………疲れました」
○○はぐったりと項垂れた。
「大丈夫かよい?」
マルコは心配そうに隣に座る○○を見た。
「はい。…………警察って、時間かかりますね」
警察官にあれやこれや聞かれ、3時間ほど拘束され、精神的に疲れてしまったのだ。
今はようやく解放され、マルコと共にマンションに帰ってきた所だ。
「珈琲でもいれるよい」
マルコは そう言いながら席を立つ。
(おや?)
○○は疲れながらもマルコを見た。
少し違和感を感じたのだ。
マルコは特に気にした様子なく豆をミルで挽いている。
(こだわりそうだもんね)
○○はマルコの様子を楽しそうに見る。
「なんだよい」
マルコは○○の視線に気付きチラリと見る。
「え?えぇ、良い男がいるなぁって!」
○○はクスクスと笑う。
「ふ、こんなオッサンにねい」
マルコは片側の口の端をあげた。
「ふふ。じゃあ、素敵なおじ様がいるなぁって!」
○○は先程より高く笑う。
「言ってろい」
マルコは嫌な顔ひとつせず、笑った。
「良い薫り」
挽立ての珈琲の薫りが部屋に充満する。
「あァ。そうだねい」
マルコは珈琲をカップに2つ持ってソファーに座る。
しかし、一人分の幅を空けて座った。
「…………?」
○○は不思議そうにマルコを見上げる。
「ほれ、クリームと砂糖も」
マルコはそれらをローテーブルに並べた。
「マルコさん?」
○○は不思議そうにマルコを呼ぶ。
「ん?」
マルコは代わらず声を出す。
「私の事、避けてません?」
「っ!…………いや?」
明らかにびくりと肩を震わせてから、なに食わぬ顔でマルコは言う。
「……」
○○はずいっとマルコとの間を狭める。
「……」
マルコは珈琲を手にしたまま下がる。
「……」
「……」
「……」
「……マルコさん?」
「………………よい」
ソファーの端に追い込まれたマルコは小さく声を出す。
「珈琲置いてください」
○○はひょいとマルコから珈琲を取りあげ、ローテーブルにコンッと置く。
「……マルコさん。私の事嫌いになりましたか?」
少し寂しそうに○○はマルコに顔を近付ける。
「そんな事ある訳ないよい」
マルコは強く否定する。
「……じゃあ」
○○が唇を近付けるが、マルコはふいっと避ける。
「明日」
「え?」
マルコの真剣な声に不思議そうに○○がマルコを見る。
「契約書を作って持って来い。契約したら、抱く。その代わり今日までは約束を果たして貰うよい」
マルコは真剣な表情で言う。
「………………真面目だ!!!」
○○は大笑いをした。
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