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「あァ!!!あんたか!知ってるぞ!」

男は鼻血を垂らしたままマルコを見た。

「……」

マルコは無言で男を見下げた。

「お前も俺と同じじゃねーか!」

男はニヤニヤと笑う。

「……?」

○○は男の言っている意味が解らずに隣のマルコを見上げた。

「こいつな、俺と同じで、ずっと君を見てたんだぜ!!」

男はニヤニヤとマルコを指差す。

「……ど、どう言う事?」

○○は混乱して今度は男を見る。

「君は俺がストーカーだと思ってるんだろ?俺は純粋に君を見てた。そんで、そいつも君を」

「…………え」

再び○○がマルコを見上げる。
マルコはゆっくり煙草に火をつけて、深く吸い込んだ。

「言いたい事はそれだけかよい」

マルコは紫煙を吐き出す。

「あはははは!開き直りやがったよ!」

俺は高らかに笑った。

「お前は不法侵入及び準強姦。俺とは雲泥の差さだねい」

マルコは無表情のまま言う。

「っ!…………同じだろ?」

男はニヤリと笑う。

「お前も酔った彼女を」

「……」

「っ!!」

男の言葉にマルコは無言で近付き、右手で殴る。

「ま、マルコさん!!!待って!!」

無表情で殴り続けるマルコの腕を止める。

「……」

マルコは冷たい表情のまま、殴るのを止める。

「……あの」

○○はマルコが男を掴んだままなので、そっと男に近付いた。

「何故見ているだけだったんですか?」

○○の言葉はどちらに向けられた物だったのか、

「…………自信が無かった……」

男は血だらけの顔でそう言った。

「でも、ちゃんと伝えなきゃ伝わらないですよ?」

○○は怖い気持ちを押さえて言う。

「…………伝えて君は受け入れるかい?」

その言葉にマルコの体がびくりと震える。

「分からない。言っても貰わないと」

○○は静かに声を出した。

「俺は君が好きなんだ」

「………………ごめんなさい。私は、好きな人がいます」

「…………そうか」

俺は小さく笑った。

「失恋は辛いな。これが嫌なんだ」

俺は涙を流す。

「…………それがなきゃ、人間成長なんてしないです。成長しなきゃ、好きになって貰えないです」

私も、そうでした、と○○は辛抱強く言葉にした。

「…………悪かったな」

男はフラフラと立ち上がる。

「警察に行きます。君にも迷惑がかかるかもしれないけど。それなら君も俺を忘れないだろ?」

男はニヤリと笑った。

「…………分かりました」

○○はその顔に少し恐怖を感じる。
しかし、マルコが横にいるのを感じて気を強く持ち、頷いた。


男が出て行った玄関を○○は見送った。

「……」

マルコは黙ったままだった。

「……マルコさん」

○○の声にぴくりと肩を震わせる。

「……あの、行きましょう?」

「っ?」

○○の言葉にマルコは驚いて振り返る。

「だって、マルコさんが窓割っちゃったから」

○○はクスクスと笑いながらベランダの方をチラリと見た。

「……よい」

マルコは静かに立ち上がる。











車でマルコのマンションへ向かう。

「あの」

静かな車内に○○の声が響く。

「なんだい?」

「部屋に着いたら聞きたい事があります」

「…………わかった」

マルコは頷いた。

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