15

「へぇ、じゃあ今は不死鳥さんの家に?」

ロビンは驚いた顔をした。

「不死鳥?」

○○は不思議そうにお弁当の海老フライを食べる。

「あら、知らない?白髭の不死鳥マルコと言えば結構有名よ」

ロビンは美しい顔で笑ってサンドウィッチを上品に口に運ぶ。

「……知らなかった」

○○は不思議そうに頷いた。

「ふふ。でも、ストーカーなんて怖いわね」

ロビンは真剣な顔をする。

「うん。何か、いつも見られてるのがちょっと……」

困った顔になる。

「そうね。あまり一人にならない方が良いわね。今まで何もアクションしなかったのに、急に写真を送り付けて来るなんて……。結構前の写真もあったんでしょ?」

ロビンの声にうんと頷く。

「って、……こ、怖い事言わないでよ」

ロビンの真剣な瞳に○○は不安そうに眉毛を八の字にする。

「まァ、不死鳥さんがいるなら安心ね」

ロビンは安心させるように笑う。

「……だよね」

○○は小さくため息をついた。





(せっかく、マルコさんと……)

○○は色々と思いに更ける。

(しかし、マルコさんとするの気持ち良かったなぁ。今までのが何だったんだろうって思うくらい……)

パソコンのキーを叩く。

(キスも気持ち良いし……。これが体の相性が良いって事なのかしら?)

プリントアウトする。

それを上司に持っていく。

「ふむ、良いだろう」

上司がそれを読み判子を押す。

「ところで、どうだ?白髭の方は」

上司は重々しい口調で聞く。

「はい!順調です!上手くいけば明後日には契約が成立しそうです」

○○は力強く頷く。

「そうか。期待しているぞ」

「はい!」

○○は元気良く頷いた。




勤務時間が終わると○○はそそくさと帰り支度をする。

「ふふ、慌てちゃって」

ロビンがクスクスと笑う。

「あ、ロビン!仕事の資料をひとつ家に置いて来ちゃって」

○○は困った顔をする。

「あら、それは。一人で帰るの?


ロビンは心配そうに聞く。

「うん!すぐだからね」

○○はにこりと笑う。

「不死鳥さんは知ってるの?」

「ううん、まだ仕事終わらないだろうし」

ロビンの言葉に○○は首を左右に振った。

「……心配だわ。私も行ってあげる」

「いや、悪いよ」

ロビンの言葉に○○は苦笑する。

「ダメ。○○一人では行かせられないわよ」

ロビンはにこりと美しい笑みを浮かべた。

「……じゃあ、お願いしちゃおうかな?」

○○はおずおずと声を出す。

「ふふ、もちろんよ」

ロビンはにこりと笑った。






2人で職場の外に出る。

「あら。私の心配する事では無かったわね」

ロビンは笑顔で指を指す。

「え?あ!」

○○がロビンの指を追うとそこには煙草をくわえるマルコの姿があった。

「ま!マルコさん!どうしたんですか?」

○○は驚きと嬉しそうな表情を浮かべてマルコに近付こうとしてはたと、止まる。

「…………これ、私の為じゃなきゃ、恥ずかしいよね?」

くるりとロビンを振り返る。

「ふふ、そんな心配はないみたい」

ロビンはにこりと微笑む。

「帰るよい」

いつの間にか近くに来ていたマルコが○○の肩を叩く。

「まさか、迎えに?」

○○はおずおずとマルコを見上げる。

「それ以外この会社に用は無いよい」

マルコは当然の様に声を出す。

「っ!あ、ありがとうございます」

○○の頬に熱が集まる。

「ふふ、可愛いわね」

ロビンは楽しそうに2人を見る。

「では、不死鳥さん。後はお任せします。じゃあね」

ロビンは優雅な動作で○○に手を振った。

「…………ニコ・ロビンかよい」

マルコはロビンの後ろ姿を目で追う。

「知ってるんですか?」

驚きながらマルコを見上げる。

「あァ、有名だからねい」

マルコはさして興味が無さそうに言う。

「乗れよい」

マルコは停めていた車に○○を押し込める。

「あの、家に仕事の資料を忘れてしまって」

○○は恐る恐るマルコに言う。

「なら、ついでに荷物も取りに行くよい。俺のマンションに住めば良いからねい」

マルコはニヤリと笑った。

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