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気が付くと夕方になっていた。

マルコからメールで「帰る」と入った。

「ふふ、何か良いな。こう言うの」

○○は上機嫌で嬉しそうに笑った。

「あ、そう言えば」

荷物の整理をしていて気が付いた。
家から持ってきた封筒。
開けようと手を伸ばす。


ーーピンポーン



「あ!はーい」

○○はドアフォンから確認し、ドアを開ける。

「お帰りなさい、マルコさん!」

○○は抱き付かんばかりの勢いでマルコを出迎える。

「あァ、ただいま」

ニヤリとした笑顔と共にマルコは○○に口付ける。

「ん?それは?」

マルコは○○の手に握られた封筒を不思議そうに見る。

「あ、家に届いてて」

「俺のかい?」

「いいえ、私の」

そう言いながら○○は封筒を開ける。

「何だろ?写真………………なに、これ」

○○の顔がみるみる青くなっていく。

「どうしたよい」

マルコがそれを引ったくる様に奪い、見る。

「…………これは」

マルコは眉間にシワを寄せた。

百枚はありそうな写真。
それの殆どに○○が写っていた。

笑顔から、疲れた顔、怒った顔と様々な表情。

ただし、全てにおいて目線が合っていない。

中にはカーテンが引かれた隙間から写った物もある。

「あー……ストーカー?」

マルコは胸ポケットから煙草を一本取りだし口にくわえる。

「っ!!ま、まさか?!わ、私に?」

○○は不安そうにマルコを見上げる。

「怖いかよい?」

「え?怖い、です」

○○は頷く。

「俺がいる。ここにいれば良いよい。どうせストーカーなんてする野郎は表に出て来ない弱虫なんだい」

「…………あれ?マルコさん、ストーカーの肩持ってます?」

○○は眉毛を八の字にし、マルコを見上げる。

「いや、そんな事ないよい」

自分が10年と言う長い間○○を見続けていた事もあり、何となく肩を持つ発言をしてしまったようだ。

「とにかく、ここならセキュリティも万全だし、大丈夫だろい」

マルコは安心させようと○○の頭を撫でた。

「そう、ですね」

○○は不安ながらもにこりと笑った。

「マルコさんがいれば怖くないです」

○○はにこりと笑った。

「……可愛い事言うねい」

マルコは火のつかない煙草を指で挟み、○○に唇を重ねる。

「……マルコさんってキス魔?」

照れを隠すためにそんな事を聞いてみる。

「嫌かい?」

「っううん」

マルコの聞き方があまりにも艶っぽく、○○は顔を赤くして頭を左右に振った。

「早く食いたいよい」

マルコは○○を抱き寄せ、髪の臭いを嗅ぎながら呟く。

「ふふ、ご飯にします」

○○はクスクスと笑う。

「○○をだよい」

「っ!ご飯食べて、お風呂に入ってから!んん」

○○の抗議はマルコの口の中に消えていった。











「…………冷えちゃいました」

「悪かったよい」

「せっかく……時間かけたのに」

「…………」

「…………」

「…………」

「…………」

「美味しかったよい」

「っ!な、何がですか?!」

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