13
「ん……」
眩しさに目を覚ます。
○○は隣に眠るマルコをそっと撫でた。
前回と違うのは彼がこちらを向いている事と、自分が昨夜の事を覚えている事。
「ん……朝かよい」
マルコの掠れた声にドキリとする。
「お、おはようございます」
○○は顔を赤くしてシーツを引き寄せる。
「…………」
マルコは無言でその様子を見る。
「な、あんまり見ないで下さい」
○○は赤くなったまま背中を向ける。それでもベッドから出て行こうとはしなかった。
「可愛いよい」
マルコは○○を後ろから抱き寄せる。
「っ!マルコさん!」
腹から手を這わせるマルコに怒った様に声をかける。
「……柔らかいねい」
「っ!や……」
胸に伸びる手に○○は甘い声を出す。
「こうして遊んでいたいんだが、今日は仕事だよい」
マルコは残念そうに、しかし抱く手は緩めずに言う。
「そ、そうなんですか」
○○は知らず知らずの内に残念そうに声を出す。
「そんなに可愛い声、出すなよい」
マルコの声と体の体温にぎゅっと胸が締め付けられる。
「あの、今日は何時頃来たら良いですか?」
「ん?」
「夕飯」
○○はシーツにくるまったまま、マルコをチラリと振り返る。
「あァ……。休みかい?」
「え?あ、はい」
○○が頷く。
「なら、ここにいろい」
マルコはくるりと○○を自分の方へ向ける。
「え?」
「出迎えて欲しいもんだよい」
マルコはニヤリと笑うとシーツを剥がし、○○に覆い被さる。
「え?仕事は?」
素肌を見られて慌てて声を出す。
「まだ大丈夫だよい」
マルコは熱の籠った瞳で○○を見下ろした。
着替えが無いので一度帰る事にし、マルコに合い鍵を渡される。
「返さなくて良いよい」
マルコは出掛けにそう言った。
「……これは、期待して良いのかな?」
貰った合い鍵を見つめて○○はぽつりと呟いた。
○○はマルコが好きだ。
マルコもきっと。
軽くなる心と足取りに何て単純で短絡的な性格だろうと自分で思う。
初めての出会いが最悪でも、こうして相手を好きになってしまえばそれも楽しく思える。
「私って、馬鹿かも」
そんな事を思いながらも足取り軽く自分のアパートへ戻り、郵便受けをチェックする。
それから部屋に入り着替えをして洗濯機を回す。
その隙に部屋を少し片付け、泊まる用意をする。
届いた荷物をチェックすると、殆どがダイレクトメールで、ぽいぽいとごみ箱へ捨てていく。
「ん?なんだろう」
不思議な形の封筒を見つけ、開けようとした所で洗濯機が終わる。
封筒はそのままに洗濯物を干す。
仕事道具も荷物に入れると、そうそうに自分の家を後にした。
マルコの高級マンションに着き、鍵を使ってセキュリティを抜けていく。
そして、少し照れながら部屋に入る。
「よし!今日は時間のかかるものも作れる」
○○は気分良く料理に取り掛かる。
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