02

「坊っちゃーん!!どこですかー?」

テオ様の部屋を出るといつものグレミオさんの声がした。

「グレミオさん! 坊っちゃん今日もいないんですか?」

私は呆れた様な顔をして心では 坊っちゃんの話題にドキドキとした。

「そうなんです!ゆうさん知りません?」

グレミオは今にも泣きそうな声で私を見た。

「うーん、今までテオ様の所にいたから……。テッド君は?」

私は 坊っちゃんの親友の名前を出す。

「テッド君もいないんです」

「あーあ」

私は苦笑する。十中八九2人は一緒でさらに……

「狩りじゃないかしら?テッド君上手いから」

私は弓を打つ真似をする。

「はぁ……全く危険な事してなきゃ良いのですが」

グレミオさんは過保護だ。

「将来は軍人さんとして多くの部下を従える身ですよ?」

私は少し反論をしてみる。

「何を言っているのですか!坊っちゃんが強いのは知ってます!でも、それとこれとは別です!!」

グレミオさんが捲し立てる。

「あは、は。私探して来るわ。グレミオさんは夕飯のシチューお願いしますね!」

私はまだ何か言うグレミオさんを残し走り出した。








「いた」

坊っちゃんとテッド君が大きな岩影に隠れて弓を構える。

「よし!打て!」

テッド君の指示で 坊っちゃんが弓を打つ。

「あー!」

しかし、ウサギは逃れて走っていく。

「難しい」

坊っちゃんは弓を放り投げるとごろんと転がった。

「あはは!意外とどんくさいよな!」

テッド君は楽しそうに笑った。

「うるさい」

坊っちゃんはふて腐れた様に目を閉じた。

私はクスリと笑うと2人に近付いた。

「狩り?」

「「ゆう」さん!」

2人は同時に私を振り返る。

「グレミオさんが怒ってたよ」

私は指で鬼の角を真似る。

「あちゃー!すぐに戻る?」

テッド君は慌てた様に 坊っちゃんを見る。

「うーん……。それよりさ、ゆう、何かあったの?」

坊っちゃんは私の目をじっと見た。
この目は不思議と引き込まれる物を持っている。

「え?……あー、あ!私の誕生日にね、テオ様がお休みで皆でお祝いしてくれるって」

私はにこりと笑った。

「え?!やったじゃん!!なぁ 坊っちゃん!!」

テッド君は自分の事の様に笑った。

「うん!父さんと皆でお祝いしてあげるね!」

坊っちゃんもにこりと笑った。

「うん!楽しみにしてるわ」

私も2人の笑顔に胸が熱くなった。

「でも、それ以外に何かあったでしょ?」

坊っちゃんの人を見透かすような目に私は観念する。

「テオ様が私に会わせたい男性が2人いるって」

私は何て事ない様に言う。

「えー!お見合いって事?!」

テッド君が叫んだ。

「まぁ、ね」

私はクスリと笑った。

「……」

「でもさー!テオ様の部下なんだろ?そしたらアレンシールって人とグレンって人だろ?」

「グレンシールとアレン」

テッド君の間違いに 坊っちゃんが冷静に直す。

「そっか、その2人はイケメンだし、将来有望じゃん!まぁ、 坊っちゃんの方が有望だけどね」

テッド君はニヤリと笑った。

「ふふ、そうね」

私は心の中を隠して笑った。

「おっと!俺先に行ってグレミオさんなだめてくるよ!」

「宜しく!」

テッド君が走り去る背中に 坊っちゃんが叫んだ。

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