02
「おォ!だいぶ出てきたなァ!!」
シャンクスはルカの姿を見た。
普段とは違うゆったりとした服に身を包んだルカの腹を見た。
「見るな、触るな、近寄るな」
「な!?ベック酷くね?」
ベックマンは近いシャンクスを引き離した。
「気のせいだ」
ベックマンは少し不機嫌そうに言う。
「……なるほど!ベック禁煙中か!」
シャンクスがポンっと手を叩いた。
「…………いや」
ベックマンは首を振る。
「あれだろ、減らしてるんだろ?蛍族!」
ヤソップがニヤニヤと笑う。
「そうなんです。部屋の中と私の前では吸いません。部屋の壁紙も全て新しくしました」
ルカはクスリと笑った。
「おォ!!!煙草狂のあのベックが!!」
「おォ!!!ニコチン中毒者のあのベンが!!」
シャンクスとヤソップが驚きに声を上げた。
「ふふ、副社長もお父さんになるんですよね」
ルカは嬉しそうに笑った。
「……ところで、いつまで副社長なんだ?」
ルカの言い方にシャンクスが不思議そうに聞く。
「クスクスさぁ」
ルカは楽しそうに笑った。
「…………」
「どうした?」
家に帰り、のんびりしているがルカの様子が沈んでいた。
「……私、出来るかな?」
ルカはぽつりと呟いた。
「子育てか?」
ベックマンの言葉にこくりと頷いた。
「俺もいるし、大丈夫だろう」
「でも!やっぱり怖いよ。人一人の人生を預かるんだよ?もし、失敗したら……」
ルカはポロポロと泣きながら訴える。
(マタニティーブルーって奴か)
ベックマンはルカを抱き寄せる。
「大丈夫だ」
ぽんぽんとベックマンがルカの背中を優しく叩いた。
「わ、私、親もいなかったし、自信がない……」
ルカはベックマンに抱き付く。お腹が邪魔をしてなかなかぺったりとくっ付けずにいた。
「誰でも初めての事は不安だ」
ベックマンはルカを膝の上に乗せた。
「……そうかしら?」
ルカは背中をベックマンの胸に預ける。
「当たり前だ。俺もそうだ」
「ベックマンも?」
ルカは驚いてベックマンを振り返る。
「あァ」
ベックマンは優しく後ろから抱き締める。
「だが、ルカ、お前のとなら大丈夫だ」
ベックマンはゆっくりと話す。
「……嘘よ」
「何故?」
ルカの言葉にベックマンは優しく聞き返す。
「だって、ベックマンは何でも出来るじゃない。私がいなくても」
ルカは沈み込んでいた。
「俺がか?出来ない事だらけだ」
「…………嘘よ」
ルカはもう一度呟く。
「嘘じゃない。まず、子を宿せない」
「……」
ルカは驚いてベックマンを見上げる。
「それから出産も出来ない。産まれても乳もやれない」
ベックマンは柔らかい口調のまま話す。
「出来ない事だらけだ。俺の子を産むのはルカにしか出来ない」
ベックマンはしっかりと言葉を紡いだ。
「…………そっか」
ルカは小さく呟いた。気持ちは少し落ち着いた様だ。
「宜しく頼む」
ベックマンは優しくルカを引き寄せる。
「…………はい」
ルカはそれに答えるようにベックマンへと口付けた。
「で?何故人前で名前で呼ばない?」
「だ、だって……」
「?」
「気恥ずかしいじゃない!」
「……夫婦なんだが?」
「で、でも!」
「子供も産まれるが?」
「……だ、だって……」
「まァ、良い」
「特別っぽいでしょ?」
「……そうだな」
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