01
「大丈夫か?」
ベックマンは心配そうに声を出す。
「ええ、もちろん」
ルカは余裕の笑みを見せた。
「……なら、良いが無理はするな」
ベックマンは火のつかない煙草をくわえたまま腕を組んだ。
「あぁ、もう!それ何度目?私なら大丈夫だから早く行きましょう!遅刻するわ!」
ルカはヒールのない靴を履くとベックマンを促した。
「…………はァ」
ベックマンはため息をついた。
「おはようございます」
ルカは入ってきた社長にいつも通り挨拶をする。
「お?大丈夫なのか?」
シャンクスが驚いてルカを見る。
「もちろん」
ルカはクスリと笑った。
「なんか?いつもと……」
シャンクスは不思議そうにルカの顔を間近で覗き込む。
「あァ、化粧が気持ち悪いんだとよ」
「おい!コラ!ベック!!」
シャンクスの顔がルカに近すぎるとベックマンがシャンクスの顔を手のひらで遠ざけた。
「……すみません。貼り付く感じが気持ち悪くて化粧が出来なくて……」
ルカは悪阻のせいでベースやファンデーションが出来ずにいた。
「なるほど!そう言う事な!気にしなくて良い」
シャンクスが楽しそうに笑った。
「いや、しかし凄ィな!かみさんの時はつらそうだったが」
ヤソップは感心した様に言う。
「確かにな!幸子の時もつらそうだったな」
シャンクスも顎に手を当てて思い出す様に言う。
「まァ……人それぞれって事だろう」
ベックマンはため息混じりに声を出した。
「それでは、お疲れ様でした」
ルカは、完璧な笑顔で笑った。
「おう!お疲れ!」
シャンクスは笑った。
「悪いがお頭、俺も帰るぞ」
ベックマンが上着を羽織る。
「おお!もちろん良いぞー」
シャンクスは頷く。
「大丈夫ですって」
ルカはベックマンを見る。
「こう言う時くらい旦那に甘えたらどうだ」
シャンクスは苦笑すると2人を追い出した。
「ただい……」
ルカは部屋に着いた瞬間崩れ落ちた。
「ほら、大丈夫じゃない」
やれやれとベックマンはルカを抱き止める。
「仕事してる時は気を張ってるので大丈夫なのですが」
ルカはベックマンに体を預ける様に力を抜いた。
「運ぶぞ」
「お願いします」
ベックマンはなるべくゆっくり寝室のベッドへと運んだ。
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