03

シャンクスとかなは夜道を歩く。

ちょうど、路地に入った時に突然パシャリと光った。

「な、なに?」

眩しい光にかなが驚いてシャンクスにしがみつくと再び連続で光が降り注いだ。

「なんの真似だ?」

シャンクスはかなを自分の背に隠すと光の方を睨んだ。
そこにはカメラを抱えた男がニヤニヤと笑っていた。

「あはは!これはこれは世界有数の赤髪会社の社長さんが、奥さんに隠れて何をしているのですかな?」

男はニヤリといやらしい笑みを見せる。

「え?」

かなは不思議そうな顔をする。

「赤髪のシャンクス!下町不倫!家には帰らずアパートに住む!なんて見出しはいかがですか?」

ニヤニヤと男はカメラを向け、フラッシュをたく。

「不倫?」

シャンクスは男を睨みながら声を出す。

「えー、えー!仲睦まじく肩を組んで歩く姿を奥さんが知ったらさぞ悲しむ事でしょうな?」

男はデジタル一眼レフの画面を覗く。

「……だっはっはっは!!!!」

突然シャンクスが笑い出す。

「何かと思ったが、そうか。パパラッチって奴か」

シャンクスがニヤリと笑う。

「で?お前の望みはなんだ?」

シャンクスは悪い顔を男に向けた。

「いえいえ、この写真と記事を出版社に持ち込めば、良い金になりすからね……まぁ」

男は手を差し出す。

「1億くらい出してくれれば、ねぇ?」

男は一本指を立てた。

「お、億?」

かなは驚いて声を出す。

「そうだよ!お嬢さん!この男はね、実力にこのルックス。良いネタになるんだよ。売り上げが上がれば俺の株も上がる。金もバンバン入って来る!」

男は妄想に酔いしれていた。

「で?お前はちゃんと撮った写真を見たのか?」

シャンクスは男のカメラを指差す。

「は?」

突然の呼び掛けに男は間抜けな声を出す。

男は慌てて写真を見る。そこには仲睦まじく写る目の前の男女の姿。

「ちゃんと写ってるじゃねぇか!」

男は慌てた声を出した。

「違ェよ、これだこれ」

写真は男に不用心に近付き、カメラをやんわりと撮る。
それはしっかりとかなの顔が写る。

「それがどうした?」

「だー、お前ェは記者の端くれの癖に知らねェのか」

飽きれ気味のシャンクスの言葉に男は画面をもう一度覗く。

「こんな可愛い女世界に1人しかいねェだろ!」

シャンクスはニヤリと笑う。

「いや、どこにでもいそうな女だ」

男は意味が解らず困惑の表情を見せる。

「ふざけるな!俺のかなは世界に1人しかいねェよ!!!」

シャンクスはカメラを取り上げて怒鳴る。

「へ?」

男は慌ててかなを見る。

そこには髪を切ってジーパンにパーカーを羽織ってはいるが、結婚記者会見で見たあの社長夫人の顔だった。

「え?!な、なんで?!」

男は狼狽える。

「金持ちの考えそうな事だろ?安アパートに住んで新しい刺激を求めるなんざ」

シャンクスはニヤリと笑った。

「この写真も良く撮れてるが……よし」

シャンクスはカメラを男に投げ返す。

「そ、そんな……」

「カメラ壊されなかっただけましだろ?じゃあな!」

シャンクスはかなの肩を抱くと再び夜の道を歩き出した。

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