03

それから数日、白ひげ海賊団はグランドライン新世界で荒波に飲まれながらのほほんと航海を続けていた。
あんじゅもシャンクスと出会った事を忘れかけていた。






「あーあ、またお腹一杯ご飯食べたいなぁー」

あんじゅはお代わりの親子丼の最後の一口を放り込んだ。

「お前は燃費が悪過ぎるなァ」

「あ、イゾウ隊長……」

呆れながら声を出すイゾウにあんじゅは寂しそうな顔をした。

「しっかし、そんな顔されたんじゃなァ。これ食うか?」

イゾウが干し肉を取り出した。

「ふわぁぁぁ!!!」

あんじゅの目が輝く。

「三回回ってワン」

「ワン!!!!」

「…………よし……」

物凄い速さで回るとあんじゅは大声で吠えた。
イゾウが呆れながら干し肉を差し出すと犬のように食らい付いた。

「……お前ェには人間としてのプライドがねェのかい?」

イゾウは呆れながら声を出す。

「ぷらいどってお腹一杯になるんですか?!」

あんじゅは驚きながら声を出す。

「…………そうだな」

イゾウは目を見開き、頷いた。





干し肉を頬張っていると、外が騒がしくなる。

「何かあったのかねェ」

イゾウがゆったりと構える。

「うん!美味しかったです!ご馳走様でした!」

あんじゅはそれに気付かずに手を合わせた。

「お前ェさんは肝が据わってるな」

イゾウはくすりと妖艶に笑った。


『あ、赤髪だぁぁぁぁ!!!!!』


そんな声がモビーディック号に響き渡った。

「四皇同士の接触は世界政府が黙っちゃいねェんじゃないのかい?」

イゾウは慌てる事なく窓へと視線をずらした。

「あ!行かなきゃ!」

あんじゅはすくっと立ち上がった。

「あ?」

イゾウはその姿に驚いた。










「よう!」

気軽に挨拶をするシャンクスだが、覇気は発していた。

「赤髪、何て事してくれるんだよい!」

マルコがシャンクスを睨み付ける。

「お!マルコだな!うちに来ないか?」

「黙れよい!!!」

マルコは苛立たしげにシャンクスに叫んだ。

「悪ィが、今日は嫁を貰いに来たんだよ」

シャンクスはマルコに体ごと向き直る。

「嫁ェ?!」

マルコは胡散臭そうにシャンクスを睨む。

「あァ。まァ、なんだ、貰いに来た」

シャンクスがにかりと笑った。

「誰の事だか知らねェが、お前にやる女なんていねェよい」

マルコは不機嫌そうに声を出した。

「でもあっちは乗り気だったぞ!」

シャンクスは1人うんうんと頷いた。

「誰の事だよい」

「…………そう言や、知らねェな」

マルコの問いにシャンクスは首をひねった。

「ふざけてんのかよい!!」

「おふざけでこんな危ない橋渡るわけねェだろ?」

苛立つマルコに冷静に答えるシャンクス。

「それに、自分から来るだろ」

シャンクスはすっとマルコの後ろを指差した。

「オヤジ……と、あんじゅ?!」

マルコは驚いて声を出した。

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