02

「うー、飲み過ぎた……」

シャンクスは飲み過ぎから来る頭の痛みに耐えていた。

「おーい!姉ちゃん!起きないのかー?」

隣で物凄い量の食事を平らげた女を揺すった。

「むにゃ、シュークリームなら食べられる……」

「って!まだ食うのか?!」

思わず寝言に突っ込みを入れる。

「悪いね、お客さん!そろそろ店閉まいだ」

店主がシャンクスに話しかける。すでにシャンクスから金を受け取っていてウハウハだった。

「あー、そっか。どーすっかな?」

シャンクスは起きない女を見て頭をかいた。

「置いて帰る訳にもいかねェし……ん?」

シャンクスは女のずれたシャツから有るものを見付けた。

「……おやじ、この辺に宿あるか?」

シャンクスは思い返して店主に聞く。

「…………まさかと思うが寝てる相手に」

「しねェよ!!!」

シャンクスは全力で突っ込んだ。

「外出て右手に歩いてくとある」

「そうかい。ありがとよ」

シャンクスは女を担ぐと店を後にした。









「よっと」

シャンクスはベッドに女を寝かした。

「白ひげんとこの女かー。飯食う姿は好みなんだがなァ」

シャンクスは眠る女の顔を見た。

「…………ヤベェか……」

シャンクスは眉間にシワを寄せながら女と同じベッドに体を滑り込ませた。










「ん?んー」

あんじゅは外の騒がしさに目を覚ました。
もぞりと体を動かすが、体に何かが巻き付いて身動きが取れなかった。

「起きたか?」

男の声がすぐ近くから聞こえた。

「外が騒がしいね」

あんじゅは今の状況に驚く事無く答える。

「あァ、海軍が夜の見廻りをしてんだろ」

男は苦笑いをしながら答える。

「そっかぁ。困ったね」

あまり困ってない声を出すあんじゅ。

「俺が出るよ。少しは時間稼ぎになる」

「そりゃ、赤髪のシャンクスがいたら色めき立つよね」

あんじゅは納得したように頷いた。

「なんだ、分かってたのか?」

「そりゃねー」

驚くシャンクスにあんじゅはクスクスと笑った。

「……お前、俺ん所来るか?」

「オレントコクルカ?」

シャンクスの発した言葉の意味が解らずおうむ返しをした。

「俺の船に乗るか?」

シャンクスは笑いながら言い換える。

「あー、マルコ隊長が“赤髪には気を付けろい”って言ったのはこの事か」

あんじゅは楽しそうに笑った。

「なんだそれ?」

シャンクスも楽しそうに笑った。

「オヤジは裏切れないよ」

あんじゅは先ほどシャンクスが見付けた刺青を撫でた。

「嫁入りすりゃ良いだろ?」

「ヨメイリ?」

あんじゅは再び聞き返した。

「あァ、そうすれば白ひげを裏切った事にはなんねェだろ?娘の喜び親の喜び」

シャンクスが真剣な顔で言う。

「んー?」

「それに、うちだと腹一杯食わしてやるぞ」

「っ!!!!」

シャンクスの言葉は魅力的だった。

「あっちも口減らしに良いしな!誰も文句はないだろ」

「そっかー!」

あんじゅにはシャンクスの顔が豚の丸焼きに見えた。

「じゃあ、その内迎えに行くからよ」

シャンクスは名残惜しそうにあんじゅを離すとベッドから出た。

「分かった!」

あんじゅはにこりと笑った。







シャンクスが部屋から出ると外がますます騒がしくなり、その内静かになった。


あんじゅは騒がしい中眠りについた。

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