02
「かーのじょ!1人?」
あかりは自分が声をかけられているとは気付かずにベンチに座ってボーッとシャンクスの帰りを待っていた。
「ちょっ!!無視は酷いんじゃない?」
突然隣に男が座ってきてあかりは驚いた。
「わ、私?何か御用ですか?」
あかりは驚きつつ近過ぎる距離に驚いて尻を動かした。
「他に誰がいるの?」
笑いながら男は言った。
「いやー!ナイトZOOとか言うから可愛い女の子多いと思ったのにさ!小学生ばっかでさ!」
男は馴れ馴れしく話していた。
(シャンクスさん、まだかしら)
あかりは店の方を見た。
「可愛い女の子がいてマジラッキー!!」
「ひぃッ!!」
男があかりの肩に腕をかけた。
「ねぇ、これからどうする?」
男はあかりの耳元ギリギリで声を出した。
「止めてください!」
気持ち悪く思ったあかりは男の手を退けようと掴んだ。
「よっし!じゃあホテルな!」
「嫌です!!」
男は逆にそのあかりの手を取ると立ち上がらせた。
「大丈夫だって!俺優しいからさ!」
「いやっ!!!」
男は嫌がるあかりを笑顔で引いた。
「俺の連れが何か?」
男の手を乱暴に退けながらシャンクスがあかりを自分の方へと引き抱いた。
「シャン」
「あ?だれ?」
男はシャンクスを見上げる。叩かれた手が痛かったのか、それを逆の手で擦った。
「こいつの夫だ。妻が何か?」
シャンクスは睨むでもなく感情なく男を見る。
「いや……別に」
男はシャンクスの威圧感に押され、そのままその場を立ち去った。
「悪かったな。店がひとつしか開いてなくてな。混んでた。怖い思いをさせたな」
シャンクスがポンっとあかりの頭に手を乗せる。
「…………王子様みたい」
あかりはぽーっとした顔でシャンクスを見上げた。
「あ?」
シャンクスは驚いてあかりを見る。
「シャンクスさん!今の王子様みたいだったわ!」
あかりは顔を赤くして興奮気味に言う。
「そ、そうか。……良かったな」
シャンクスは少しだけあかりの勢いに負けていた。
「はい!」
あかりは嬉しそうに頷いた。
「よし!なら行くか」
閉園時間の近付いた動物園から2人は出た。
「うわぁ……!!!!」
あかりは驚いてその部屋を見回した。
お洒落なダイニングテーブル、ふかふかの可愛らしいソファー、猫足のバスタブ、そして、天外付きのベッド。
「このホテルのコンセプトが“お姫様の様な休日を”だそうだ。俺には場違いだがな」
シャンクスは苦笑しながらあかりを見た。
「え?わ、私の為ですか?」
あかりは驚いてシャンクスを振り返る。
「あァ、俺が王子様になるよりのあかりがお姫様になった方が早いと思ってな」
シャンクスの笑顔は驚くほど優しかった。
「っ!!…………私、ワガママでしたか?」
あかりは少ししょんぼりとした。
「いや」
シャンクスはあかりを抱き寄せた。
「俺が惚れたのはあかりだ。社長令嬢じゃなくても、お姫様じゃなくても良いんだ。ただ、あかりであれば」
「……シャンクスさん」
あかりはシャンクスを抱き返した。
「ありがとうございます」
2人の間には穏やかな空気が流れた。
現実と未来「でも、やっぱり王子様は捨てきれない」
「………………そうかァ?」
「大丈夫です!今すぐにじゃなくて大丈夫」
「…………」
「これからで、未来で」
「これからも一緒にな」
「はい!」
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