01

大会社である赤髪は今が大切な時期だった。

社長であるシャンクスを中心に連日連夜仕事を続けていた。

「恵美さん、悪ィが頼みがある」

シャンクスがいつもより深い無精髭を生やしたまま疲れた顔にニカリと笑った。

「はい、なんでしょう?」

幹部候補である恵美も昨夜は会社に泊まった。今日もこのまま行けば泊まりになってしまう。
シャンクスや副社長で夫であるベックマンと共に泊まり込むので逆に心配ではなかった。

「あのさ、今日は俺の家に行ってくれるか?」

シャンクスがこそりと言う。

「え?」

恵美は不思議そうに首を傾げる。

「いやさ、最近全然帰れないし、この先も当分帰れないから幸子が心配なんだよ。様子見で泊まってやれねェか?」

こそこそとシャンクスは周りに聞こえない様に声を出す。

「……でも……」

恵美は手元の書類に目を落とした。

「あいつ、あんな事あったしよ、あんまり一人にしたくねェ。でも、さすがに俺がこの場を離れる訳にも行かねェ」

シャンクスは真剣に言葉を紡いだ。

「……わかりました。お任せ下さい」

恵美はクスリと笑った。
本当にシャンクスは幸子が好きだなぁと感動した。








「おい、これで良かっただろ?」

帰り支度を始めた恵美を見てシャンクスがベックマンに話しかける。

「あァ、悪いな。こうでもしないと休まないからな」

ベックマンは吸い殻の溜まった灰皿にタバコを突っ込んだ。

「いや、俺も女に長い事やらせるのもどうかと思ってたし、幸子の事も心配だったしな」

シャンクスはベックマンのタバコに手を伸ばす。

「もう止めたんじゃなかったのか?」

ベックマンが良いながらもマッチを差し出す。

シャンクスは吸いながら火にタバコを近付け火を付ける。
そして、煙で肺を満たし、吐き出した。

「これくらいしねェと持たねェよ」

シャンクスはくわえタバコのままパソコンに向かった。

「そうか」

ベックマンも仕事を再開させた。

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