06
「……」
○○は何だか可愛らしいサーカスの様な店内を見渡した。
「面白い内装だよな!昔は汚ない店だったんだぜ」
エースは楽しそうに笑っていた。
「お?お前、エースじゃねーか。久し振りだな!」
大きな赤っ鼻の店主がエースを見て楽しそうに笑った。
「よう!バギー!ラーメン2つ!!餃子奢ってくれ!」
「相変わらず図々しい野郎だな!オイ!!」
席に座りにかりと笑うエースにバギーは笑った。
「良いだろ?せっかく新しい客連れて来たんだから」
エースは○○をチラリと見る。
「ほー!なんだ?なんだ!彼女か!?」
「そうだ」
「は?違っ!!」
バギーとエースのやり取りを聞いて○○は慌てて否定する。
「なんだよ?違うのか?」
「今はまだな」
バギーの言葉にエースはニヤリと笑った。
「……お嬢ちゃん。大変なのに捕まったな」
「え?」
バギーの哀れみの目で見られ、○○は不安そうな顔をする。
(いや、こんなイケメンが本気で私を相手にする訳無いか)
○○はそう思い、気分を軽くする。
「ほれ!ラーメン2つ!!餃子も付けたぜ!」
「さんきゅー!バギー船長!」
「良いって事よ!」
カッコ良くバギーは笑った。
「お、美味しかった!」
○○はラーメン屋から出て、嬉しそうに笑った。
「……替え玉3個じゃ微妙だな」
エースはうーんと考えた。
「え?!まだ足りないの?」
「逆に聞くが、お前あれで足りたのか?」
「足りるよ!」
「ありえねー」とエースは笑った。
その笑顔に胸がキュンとなるのを○○は否定する。
「さて、どうする?」
エースは○○を正面から見る。
「え?えーと?」
○○はエースの言う意味が解らず首を傾げる。
「1、このまま帰る。2、近くの公園を散歩。3、学校戻って喋る。4、ホテル」
エースは指を折りながら聞く。
「俺的には1はあり得なくて4がオススメだ」
にかりと太陽の様に笑った。
「いや、いやいやいや!私、これからまだ授業があるし。ってか、4はあり得ない」
○○はふるふると首を左右に振った。
「大丈夫!俺自信あるから!絶対気持ち良くさせてや」
「真っ昼間の大通で何言ってるの?!」
○○は顔を真っ赤にさせてエースの言葉を遮る。
「可愛いな、顔真っ赤だ」
エースはニヤリと○○の頬に手を触れさせる。
「っ!!」
「逃げんなよ」
とっさに身を引いた○○に口を尖らせて抗議するエース。
「いや!おかしい!そう言う事は好きな人同士でやるものなの!恋人同士のものなの!!」
○○は怒ってくるりと踵を返した。
「じゃあさ、俺と付き合えよ」
エースはサラリと行った。
「え?は!えぇ?!」
○○は心底驚いてエースを振り返る。
「な?俺、お前の事好きだ」
ストレート過ぎるエースの言葉に○○の頭はクラクラとする。
(ダメだ、頭が働かない)
○○は混乱しきってエースを見る事しか出来ない。
「なぁ、俺じゃダメか?」
エースは一歩近付く。
「後悔はさせねーから」
また一歩。
「俺を好きになれよ」
エースは○○を掴まえ、身を屈めて口付けようと顔を近付ける。
ーーゴンッ
「……痛っ?」
エースはさして痛くもない頭突きを喰らった。
「っ!!あ、会って間もないのにそんな事言われても困る!」
○○はおでこを押さえながら声を出し、学校へ向かって走り出した。
「はぁ……」
「なにやってんの?エース」
「なぁ、サッチ」
「あん?」
「抱きてェ」
「…………悪いが俺にはそう言う趣味は」
「○○抱きてェ」
「あァ、そっちな」
「無理矢理抱いたら怒るよな?」
「そりゃな」
「…………はぁ」
(うぜェ……)
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