04
「あれ?」
○○はある空き教室で携帯の忘れ物を見付けた。
「あぁ、忘れ物ね」
ショートカットの友達が言う。
「うん。どうしよう?」
「置いとけば?」
「じゃあ、目立つ所に」
ーーピロロロローン
着信音がその携帯から聞こえて来た。
「うわっと!鳴った!」
「出れば?」
「でも……」
○○がもたもたしている間に電話が切れる。
「あ……」
ーーピロロロローン
再び鳴り始めた携帯電話。
「も、もしもし!」
○○は思いきって出た。
『……誰だ?』
「あ!これ、今ここに落ちてて!」
○○は聞こえて来た低い声に慌てて弁解する。
『そうか、悪いな。あったぞ!』
電話の向こうの男が声を出す。
どうやら無くしたのに気付いた友達の為に電話をかけたようだ。
『悪いんだが、番号教えてくれないか?充電切れそうなんだ』
低い男の声はそう当たり前の声を出す。
「え?あ、はい」
○○はさらさらと声を出す。
『おい、ポートガス屋』
『何で俺』
ーーぷっ、プープー
「切れた……」
「なんだって?」
「それが」
○○は困った声を出す。
「切れた」
ローはぽつりと呟いた。
「キャプテーン!!!」
シャチが泣き崩れる様にローを見る。
「後はポートガス屋に任せる」
「だから、何で俺?」
ローの言葉にエースは不機嫌そうに声を出す。
「コーラ奢るからぁ!!」
シャチが今度はエースに泣き付く。
シャチが携帯電話がないと叫び出し、ローがシャチの携帯に電話をかけた。
1度目は出なくて苛立ちながらもう一度かけると女が出た。
しかし、場所を聞く前にローの充電が切れそうなので、彼女の携帯番号を聞き出し、エースにかけさせる。
「あー、もしもし」
『もしもし?』
エースは電話の向こうの声にどきりと心臓が鳴るのがわかった。
「…………」
『あ、あの。携帯の……ですよね?』
電話の向こうから慌てた声がする。
「あァ、今から取りに行くから、どこにいる?」
『えっと、1号館の……103教室です』
「悪いな。もう少しそこにいてもらえるか?」
『分かりました』
「じゃあ」
エースは電話を切ると深呼吸をする。
「エースぅぅ!!!」
「うるせェよ」
シャチの泣き顔にエースはニヤリと笑った。
「機嫌良さそうだな」
ローは眉間にシワを寄せた。
「まァな、早いとこ行こうぜ」
エースは足取り軽く1号館を目指した。
「あああぁぁぁぁ!!!俺の携帯電話ぁぁぁ!!!」
シャチは感動しながら○○から携帯電話を受け取る。
○○と友達は少し引き気味だ。
「よ、良かったですね。無事に見付かって」
○○はにこりと笑った。
「はいぃぃ!!ありがとうございましたぁぁ!!!」
シャチはピシッと頭を下げた。
「いえいえ」
○○は笑いながら手を振る。
「本当に!あ、何かお礼を!!」
シャチが声に出せば後ろで見ているエースが「よし!もっと押せ!」とシャチに念を送る。
「私はここで電話を見付けただけだから、お礼ならそこのお友達に言ったら?」
○○は苦笑いを浮かべたまま後ろのローとエースを見る。
「キャプテーン!!ありがとうございます!!!」
「うぜェ」
シャチの言葉にローは静かに言うが、口は上がっていた。
「おかしい。私の耳には「どういたしまして」って聞こえた」
○○が友達に言うと「耳鼻科行け」と言われる。
「お!キャプテンの事良く解ったな!照れ屋だから」
「殴るぞ」
「も、もう殴ってる……」
シャチの言葉にローは拳を頭に叩き込んでいた。
「……」
「……」
「おい、引いてるぞ」
エースは笑いながら○○達を見た。
「いや、本当にありがとう!!」
シャチが頭をもう一度下げた。
「うん。じゃあ、私達そろそろ実験だから」
○○と友達は立ち上がる。
「そうか、悪かったな」
ローがそう言えば○○はにこりと歩き出す。
「……あの」
○○は困った様に立ちはだかるエースを見上げる。
「さっきの番号、消すなよ」
「え?」
「今度かける」
「は?」
「遅れるぞ?」
「……」
○○は訳がわからず、混乱しながらも実験に遅れると実験棟を目指した。
「ほれ、シャチ」
「え?」
「いらねぇのか?コーラ」
「いる!良いのか?」
「あァ」
「楽しそうだな、ポートガス屋」
「おう!礼を言うのはこっちだ」
「……さっきの女か?」
「おう!」
「ふーん」
(あ、キャプテンが興味持った)
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