その後の時間9
冬を越え、寒過ぎず暑過ぎずの季節がやって来た。
「たまには散歩ってのも良いな」
バイクを修理に出しているエースは○○と共に散歩デートを楽しんでいた。
「気持ち良いよね!」
○○は嬉しそうに笑った。
「何か、いつもより嬉しそうだな」
エースは不思議そうに○○を見る。
「ふふ、うん。だって、バイクだとこうして手は繋げないでしょ?」
○○は繋がった手を胸の辺りまで上げた。
「そっか」
エースはにやりと笑うと強く手を握り返した。
「っと、そろそろ昼か。何食うか?」
エースは腕時計を見る。
「あ!」
「あ?」
「あれ!マルコ先生!女の人と一緒だ!」
○○が指差す方向へ目をやるとファンキーな金髪が見えた。
「お!本当だ!たかるか」
「へ?」
「おーい!マルコー!!」
「ちょっ、エース!!」
エースは楽しそうに言うと○○の手を引くと走り出した。
○○はその速いスピードに慌てて足を動かした。
ぐんぐんと速くなるスピードは見た事のない速さで景色を変えた。
「おー、エースと□□さんじゃねェかよい」
マルコが振り返る。
手にはスーパーのビニール袋をぶら下げている。
「よ!マルコ!」
エースはにこりと笑った。
「…………□□さんが死にそうだが、大丈夫かよい?」
マルコは呆れながら□□を指差す。
○○はエースと繋がった手はそのままに、その場で座り込み、肩で激しく息をしていた。
「え?あ!○○!悪ィ!大丈夫か?」
エースがヤバイと○○の前に座り込んで様子を見た。
「だ、ぜぃぜぃ、大丈、ぶ……はぁはぁ……」
○○は何とか声を出した。
「本当に大丈夫?」
マルコと一緒にいた女ーー▲▲が話しかけた。
「す、すみません。大丈夫、です!」
○○ははぁーと深呼吸をして息を整えると立ち上がった。
「全く、無理させるなよい」
マルコはエースを呆れながら見た。
「いや、マルコが見えたからつい」
エースが真剣か顔で言う。
「ふふ、マルコさん人気者だね」
▲▲がクスクスと笑った。
「あァ、こいつらは俺の教え子だよい」
マルコが▲▲を振り返る。
「白ひげのポートガス・D・エースだ。以後宜しく」
エースは頭を丁寧に下げた。
「□□○○です。マルコ先生の授業を取ってました」
○○も丁寧に頭を下げた。
「ふふ、マルコさんにお世話になってる▲▲です」
▲▲は笑顔で自己紹介をした。
「つまりはマルコの恋人だな!」
エースがにかりと笑った。
「あー、まァ、そう言う事だ。お前らはデートかい?」
マルコは袋を持っていない方の手で首の後ろを押さえた。
「おう!腹が減ったからマルコにたかろうかと思ってな!」
エースはにかりと笑った。
「相変わらずだねい」
「痛ェ」
マルコはエースを小突いた。
「ふふ、良かったらこれからお昼作るの。一緒にいかが?」
▲▲は可笑しそうに笑いながら誘った。
「おう!頼む!」
エースはにかりと▲▲に笑いかけた。
「ならホラ、持てよい」
マルコがスーパーのビニール袋をエースに押し付ける。
「いやいや、エース!悪いよ!せっかくの時間をお邪魔したら!」
○○は慌ててエースの服を引っ張る。
「気にしなくて良いのよ?」
▲▲がにこりと笑いかけた。
「で、でも……」
○○は困った様に眉を寄せた。
「気にすんな。どうせ一緒に住んでるだ。行くよい」
マルコが言うと歩き出す。
エースと▲▲に促されて○○も「大丈夫かな?」と歩き出した。
「ありがとう!すぐ作るから待ってて」
▲▲がエースから袋を受け取るとキッチンへと向かう。
「あの、手伝います」
○○がそう申し出る。
「良いよ。すぐだから」
▲▲はにこりと笑うとキッチンへと消えた。
「適当に座ってろい」
マルコはソファーに座ると煙草に火をつけた。
エースと○○も並んでソファーに座った。
「…………」
○○はその様子をジッと見る。
「嫌かい?」
○○の視線に気付いたマルコが紫煙を外に吐き出した。
「あ!いえいえ!近くに吸う人がいないので興味深くて」
○○は真剣に声を出した。
「さすが、研究熱心だねい」
マルコは軽く笑いながら煙草を吹かした。
「こいつ珍しいもんに目がないよな」
エースは楽しそうに笑った。
「出来るよー!」
▲▲の声にマルコが立ち上がり、ダイニングテーブルへ向かう。エースと○○も従った。
「うわぁ!中華丼!」
○○は楽しそうに声を上げた。
「口に合うかは分からないけど。召し上がれ」
▲▲は中華丼と中華スープを並べた。
「「頂きます!」」
エースと○○は揃って手を合わせた。
「美味しい!」
○○は嬉しそうにれんげを動かす。
「味、薄くない?」
「全然!」
▲▲の問いかけにエースが口をもぐもぐとさせながら答える。
「良かった!2人とも若いから少し濃くしておいたの」
▲▲がにこりと笑った。
○○はその表情に大人の女性を見た。
「「ご馳走さまでした」」
「お粗末様でした。じゃあ、片付けるね」
▲▲は嬉しそうに笑って食器を片付ける。
「あ!私も手伝います!今度は!」
「そう?じゃあお願い」
○○の勢いに▲▲は笑顔で答えた。
「って言っても食洗機に入れるだけだけどね」
▲▲と○○は食器を詰め込んだ。
「これでオッケー!」
▲▲はスタートボタンを押した。
「あ、あの、厚かましいお願いがあるんですが……」
「なに?」
「わ、私に料理を教えてくれませんか?」
「え?私よりお母様の方が良いんじゃないかしら?」
「それも、そうなんですけど……」
「ふふ、良いわよ」
「本当ですか?!」
「もちろん」
「ありがとうございます!!」
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