その後の時間3
「あの、エースいる?」
授業終わりの教室に○○がひょこりと顔を出す。
「お!○○!あいつなら今キャプテンと生協だ」
シャチが○○を見つけて声をかける。
「そっか、入れ違いか」
○○は残念そうに呟く。
「また入れ違いになるぞ。ここにいたらどうだ?」
教室を出て行こうとする○○をペンギンが引き止める。
「良いの?」
「もちろん!」
○○の言葉にシャチが笑顔で頷く。
「じゃあ、お邪魔します」
○○はシャチとペンギンの座る前の席に腰を下ろす。
「授業は?」
「今日はもう無いの。教授が学会なんだって」
ペンギンの質問に答える。
「そっかー。これからデートかぁ。良いなぁ」
シャチが羨ましそうに声を出す。
「うっせェぞ!テメェ等!!」
突然大きな怒鳴り声に○○の体は震えた。
「ご、ごめんなさい!!!」
○○は半泣きで、怒鳴った相手を見る。
赤い髪をヘアバンドで逆立て、化粧を施したビジュアル系バンドの様な男がいた。
ただし、人相はそうとう悪い。
「おい、キッド!○○が怯える」
ペンギンが○○を庇うように立ち上がる。
「あァ?!」
キッドがペンギンを睨み付ける。
(はわわわわ)
○○は恐怖のままペンギンから見え隠れするキッドを見る。
知らず知らずにシャチの服を握ってしまった。
「おい、ユースタス屋。テメェ、ペンギンに何しやがる」
ローの地を這う様な低い声がする。
「あ?うるせェのがまた来たぜ」
キッドが振り返り、ローを睨み付ける。
「エース!!」
○○がローの後ろのエースの姿にホッとした様に声を出す。
「あぁ?お前、ポートガスの知り合いか?」
「ひぃ!」
キッドが再び○○を振り返る。
ただ見ただけだが、一般人の○○にとっては睨まれた様に見えた。
「キッド!テメェ○○に何しやがる!!」
エースはあっと言う間に走り抜け、○○を守る様に抱き締める。
「何もしてねェよ!!!」
「怒鳴ってたぞ」
キッドが怒鳴り、ペンギンが事実を言う。
「テメェ!」
エースがキッドを睨み付ける。
「あ!エース違うの!」
○○が慌てて声を出す。
「は?」
エースが不思議そうに腕の中の○○を見る。
「わ、私がうるさくしちゃって。勉強してた、えっと……キッド君?の邪魔しちゃって……」
○○は怖いながらも何とかそう言うとエースの腕を抜け出す。
「う、うるさくして、ごめんなさい」
○○はぺこりとキッドに頭を下げる。
「……」
「……」
「……」
「……」
「あははは!!さすが○○!!面白ェ!!」
エース、ロー、ペンギン、キッドが押し黙り、シャチがケラケラと手を叩く。
「あの、許して貰えますか?」
○○は恐る恐るキッドを見上げる。
「お、おう」
ガシガシと頭をかくキッド。
「俺も大きな声出して悪かったな」
キッドは決まり悪そうに声を出す。
「俺はユースタス・キッドだ」
キッドは気を取り直して名乗る。
「あ!私は□□っと」
嬉しそうに○○が名乗ろうとするが、エースが無理矢理○○を抱き締める。
「テメェに教える名前なんてねェ!!!」
エースがキッドを睨む。
「あァ?!ふざけんなよ!ポートガス!!!」
キッドも負けじとエースを睨み付ける。
「○○、大丈夫か?」
エースの腕を抜け出した○○にローが聞く。
「うん。ねぇ、エースとキッド君も仲良いの?」
○○は睨み合う2人を見る。
「……馬鹿だがな」
ローはやれやれと言う。
「あはは!面白いだろ?」
シャチが笑う。
「うん」
○○は不思議そうに2人を見る。
「おい!キッド」
「なんだよ!?キラー!!」
「行くぞ」
「あぁ。もう時間か。じゃあな!○○!」
「あ!またね!キッド君!!」
「テメェ!気安く○○の名前を呼ぶんじゃねェ!!!」
「え、エース……」
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