その後の時間
「ねぇ、エース。無人島にひとつだけ持っていくとしたら何が良い?」
平日の2人共授業が無い日の事。
エースは自宅に○○を招いてのんびりと過ごしていた。
他愛もない会話のひとつに彼女がそうエースに質問した。
「は?」
エースは意味が解らずに聞き返す。
「だから、もし、無人島に行かなきゃいけないとして、何を持ってく?って話」
○○はにこにこと笑顔で聞く。
「なんで無人島なんて行かなきゃいけねぇんだ?」
エースは不思議そうに○○を見る。
「だから、例えばだよ!例えば!エースは私と例え話するの嫌?」
○○は少し不安そうに首を傾げる。
「そんな訳ねェよ。無人島にねェ」
エースはうーんと考え込む。
「ナイフかライター」
「ナイフかライター?」
エースの言葉に○○は鸚鵡返しで聞く。
「あァ。やっぱり火は必要だからな。それに、ナイフ一本ありゃ、大概なんでも出来る」
エースは頷く。
「……どっちかって言ったら?」
「どっちか?」
「うん。ひとつだけ」
○○の言葉にうーんとまた考え込むエース。
「じゃあ、ナイフだな」
「ナイフなんだ」
「あァ。最悪火は起こせるからな。なら、動物解体するのも、木を切るのも素手だと大変だからな。良く切れるナイフ一本だな」
エースは見えないナイフで何かを切る真似をする。
「なるほど!エースはナイフか」
○○は納得した様に頷いた。
「なら、○○は?」
「私?」
「あァ。無人島にひとつだけ持っていくとしたら何にするんだ?」
今度はエースが○○に聞く。
「ふふ、私は決まってるよ」
「何?」
「エース!」
「………………は?」
○○の嬉しそうな笑顔にエースは間の抜けた顔をする。
「私はエースを持っていくの!」
「俺?」
エースは自分を指差す。
「そう!」
○○は嬉しそうに頷いた。
「だって、エースって無人島でも生きて行けそうでしょ?サバイバルとか得意そうだし」
「ま、まァな」
「それに、エースがいたら無人島でも寂しくないもの!」
○○はにこにこと笑う。
「…………無人島の意味あるのか?」
「あるよ!他に誰もいないんだよ?」
エースは呆然と、しかし、顔が少し赤い。
「私、エースがいたら他に何も要らないもの」
○○はクスクスと嬉しそうに笑う。
「………………あー」
エースは照れた様に声を出す。
「きゃっ!」
「そりゃ、反則だ。可愛過ぎる」
エースはニヤリと笑って、○○をその場に押し倒す。
「ただいまー」
「エース。ガープさん帰って来たよ」
「………………チッ」
「鉄拳怖いでしょ?」
「………………早く結婚しようぜ」
「卒業したらね」
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