25

○○にとって、楽しい夢のような日々が続いた。

いつもの気の合う仲間に加え、新しく出来たボニーも良く一緒に遊んだ。
違う学部ではあったが、いつもの仲間とも仲良くなってくれた。

恋人同士となったエースとの関係も良好。
少し独占欲が強い気もするが、それが嬉しい時もある。




エースにとっては楽しいが、少し物足りない日々だ。

大学に行っては何故か違う学部のボニーの方が先に○○と会っている事が気に食わない。

2人きりになろうとも、何故か邪魔が入る。

お互い家族と暮らしているので、抱き合う事もままならないのである。



「あ、休講……」

○○が掲示板を見ながらぽつりと呟いた。

午後の授業が休講になり、午前中だけで終わりを迎えた。

「じゃあ、私たち帰るね!」

「うん!」

「またね!」

「バイバイ!」

いつもの仲間が帰った。
○○は携帯を取り出すとエースの番号を探す。

「もしもし?」

『もしもーし?誰?』

出たのは女の声。

「………………え、エースの携帯だよね?」

○○は不思議そうに声を出す。

『えぇ!もちろん』

「…………貴女は?エースは?」

『私?私はエースの彼女!エースはシャワー』

うふふと笑う女に○○の頭は妙に冷静だった。

「……ふふ面白い事言うのね」

『え?』

「ダメよ。イタズラは」

○○は楽しくも無いのに笑った。

『あら?貴女エースのなに?』

女は明らかに苛立った声を出す。

『ッテメェ俺の携帯で何やってんだよ!誰だ?』

エースの声がする。

「……○○です」

『○○!どうした?授業は?』

「……休講になったの」

『そうなのか!今から出る!正門で良いか?』

「………………」

少し不機嫌な○○は無言になる。

『○○?』

「わかった」

○○はそれだけ言うと電話を切った。

(弁解もないの。それとも、弁解する様な事じゃない?)

○○は頭の中がグルグルと嫌な感情が飛び交っていた。





正門で待っているとすぐにエースがやって来た。

「○○!」

嬉しそうな顔のエースが声を出す。

「……こんにちは」

○○はエースに近付くと襟元を掴んで引き寄せる。

「へ?」

エースは少し屈んで間抜けな声を出す。

「……うん!」

○○はエースの首筋の匂いを嗅ぎ、石鹸の匂いが無い事を確認するとようやくにっこりと笑った。

「ど、どうした?」

エースは少しドギマギとして○○を見る。

「浮気、してないよね?」

○○はにこりとエースに聞く。

「当たり前だろ!あ!あいつそんな事言ってたのか!学科のやつだよ。新しく携帯買いたいからって色んな奴の携帯いじってたんだよ」

エースはムスっとして言う。

「あ、エースだけじゃないんだ」

○○はホッとする。

「あァ、手当たり次第な。あ!○○になら携帯貸してやるよ?隠す事もねーしな」

エースはにかりと笑った。

「ありがとう!エース」

○○は気分も晴れやかにエースと並んだ。






「ところで、エース授業は?」

「抜けて来た」

「え?」

「授業より今は○○のが大事だ」

「…………嬉しいけど、今日だけだよ?」

「今日は良いんだな!」

「………………うん」

(可愛い)

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