22
エースは宣言通り海に着くとバイクを停め、浜辺へとやって来た。
「さすがにこの時期は人いないねー」
それでもやはり海は雄大で、太陽の光を受けキラキラと美しかった。
「あァ。俺な、海好きなんだ」
エースはにかりと笑った。
「うん!私も!こう見えて海生まれなんだ!」
○○はにこりと笑う。
「そうか!一緒だな!」
エースは楽しそうに笑う。
「あんまり上手く泳げないけど、海水浴もプールも好き」
「じゃあ、夏になったら行くか!」
「…………行かない」
「は?何で」
エースは不機嫌そうに眉間にシワを寄せる。
「……エースの前で水着着るの、嫌」
○○は恥ずかしそうにぽつりと呟く。
「大丈夫だ!お前、着痩せするタイプだろ?」
「へ?」
エースの言葉に○○が不思議そうに顔を上げる。
「バイクの時、結構胸当たって気持ち良かった」
「ちょっ!!何言ってんの!!!」
顔を赤くして怒る○○。
「アハハ、行こうな、一緒に」
「…………ルフィ君も?」
「あいつはダメだ」
「な、何で?」
不思議そうに首を傾げる。
「あいつ、泳げないんだよ。カナヅチ」
「え?」
キョトンとエースを見る。
「この前も思ったけど、凄い運動神経良いよね?」
「そうなんだよ!すげー良い動きするし、あいつ、海好きな癖にカナヅチでさ!可笑しな奴だろ?」
「と、言うか摩訶不思議」
ケラケラと笑うエースに吊られる様に○○も笑った。
「あ!ねぇ、エースはあの石を跳ねさせるの出来る?」
平べったい丸い石を拾い上げ、○○が言う。
「あ?あァ、出来なくもねーかな」
エースは石を受け取ると、低い姿勢から石をピュンっと投げた。
「いち、に、さん、…………16回……」
「まぁまぁだな」
エースがうんと頷いた。
「凄い!凄いよ!エース!!」
○○は驚いてエースを見上げる。
「そうか?」
「うん!エースは何でも出来るんだね」
○○は興奮した様に笑った。
「そんな事はねーよ」
エースは少し笑った。
(おや?)
その笑顔に少し引っ掛かりを感じる。
2人はそのまま浜辺を散歩したり
、どちらが沖まで石を投げられるかを競ったり(エースの圧勝)と、楽しんだ。
「あー、そろそろ飯でも食うか」
エースは時計を見ながら口を開く。
「そうだね。何かある?」
○○がエースを見上げる。
「そうだな。ピザ以外が良いな」
「ぷっ!!食べ過ぎた?」
「さすがにな」
エースは苦笑した。
「好き嫌いは特に無いから何でも良いけど……」
○○はキョロキョロと見る。
ファミレスや定食屋など色々と並んでいた。
「あー、じゃあ、丼物は?地魚とかあるんだよな。値段も安い」
「良いと思います!!」
○○は嬉しそうに笑った。
「よし、行くか」
エースは手を出し、○○は自然にその手を取った。
「美味しい!」
○○は驚いて声を出す。
「な?良いだろ?」
「うん!良く知ってるね」
「ルフィとかサボとかと来ると良く入るんだ」
エースはにかりと笑う。
小さな店のテーブル席は満席で、後から後から客足は途絶えない。
「へぇ!」
○○はにこにこと上機嫌に食べ進める。
「…………」
エースはその様子をじっと見る。
「ん?何?」
○○は不思議そうにエースを見る。
「付いてる」
エースは自分の口許を指差す。
「え?嘘!」
「嘘」
「は?」
「ククッ!」
「っ!!エース」
からかわれたと解り、○○は怒る。
「いや、昨日は全然食ってなかったろ?」
「あ、え?見てたの?」
エースの言葉に驚く○○。
「あァ。昼もあんま食ってなかったしな。…………俺のせいだな。悪かった」
エースは頭を下げる。
「え?ううん!私の方こそ!」
「いや、最後まで○○の話を聞かなかった俺が悪い。しかも○○が来てくれなかったら……。そう思うと、ホント、怖ェ」
エースは小さく呟いた。
「……エース」
食べ終わったどんぶりを静かにテーブルに置く。
「なァ、確かめさせてくれねェか?」
エースは真剣な目をする。
「俺はお前が本当にいるのか確かめてェ」
「…………それって……」
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