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「な、何となくよ!何となく!」
○○はそう言いながらいつもより丹念に体を洗い、無駄毛処理をする。
風呂から出るとスキンケアも念入りにし、新しい上下セットの可愛い下着を着た。
「せっかく、新しく買っただけ」
自分に言い聞かせる様にして、部屋に行く。
「これは、せっかくのデートだからね!」
服を選ぶのにも慎重ではあるが、ルンルンと胸は高鳴る。
「あ、たまには」
マニキュアを取り出し丁寧に塗る。
「うん!後は」
眉毛も整え、髪の毛もちゃんとしてなどやっていたら、いつの間には風呂から出て2時間は軽く経ってしまった。
「っ!早く寝なきゃ」
○○は慌ててベッドに潜り込む。
「お休みなさい」
○○は押し寄せてくる睡魔に逆らわずに寝た。
翌朝、いつもより早く目覚めた。
「どこ行くのかな」
と、7時を過ぎるまでベッドでわくわくとしていた。
朝食を食べ、歯を丹念に磨き、顔も良く洗う。
化粧水と乳液も念入りにし、着替えて化粧も少しだけする。
「よし、おかしくない。眼鏡以外は……」
○○はほぅと息を吐く。
絶望的に悪い見た目ではない。
しかし、何となく眼鏡はやはりお洒落につけこなせないでいた。
「でも、コンタクトとか怖いし、レーザーも……」
はぁ、とため息を漏らしていると「もうすぐ出る」とのエースからのメールが届いた。
「ねぇ!お母さん!」
「あら、可愛いじゃない!デート?」
母はクスクスと笑った。
我が娘がようやくデートをすると少し楽しそうにしていた。
「……変じゃない?」
「可愛いわよ」
母に言われてホッとした。
「エース。出掛けるのか?」
ガープは出掛けようとするエースに声をかける。
「おう」
「この前の娘さんか?」
「……おう」
隠す事でもないかとエースは頷く。
「ちゃんと避妊はするんだぞ」
「ぶっ!!何言ってんだよ」
ガープの言葉にエースが吹き出す。
「当たり前だ。相手の事、自分の事をちゃんと考えて、責任を取れん事はするな」
ガープは真面目な顔で言う。
「……おう」
それから汲み取れない程愚かではないエースは頷く事しか出来なかった。
玄関を開けると凄まじい音がした。
「え?バイク?」
○○は不思議そうにエースに駆け寄る。
「おはよう、エース。これ……」
○○は不思議そうにエースとエースが跨がるバイクを見る。
「俺の。二年位前に自腹で買った。結構気に入ってる」
おはよと挨拶をしてからエースはエンジンを止める。
「あら!貴方が○○の?」
「お、お母さん……」
○○が振り返ると、母親が外に出ていた。
「おはようございます。○○さんとお付き合いをさせていただく事になりました、ポートガス・D・エースです。以後、お見知りおきを」
エースはぺこりと頭を下げ、きちんと挨拶をする。
「あらあら、ご丁寧に。気を付けてね」
母親はイケメンエースににこりと笑った。
「ほら、メット」
エースがヘルメットを渡す。
「え?うん」
○○が被るとエースは自らも被り、バイクに跨がり、エンジンをつける。
「乗れ」
「う、うん」
よいしょと乗ると、エースが支えているだけなのに、ぐらぐらと揺れる事はなかった。
「ちゃんと掴まれ」
○○はエースの服に掴まる。
「では、行ってきます」
エースはそう母親に言うと、目のシールドを下げ、出発させる。
「行ってらっしゃーい」
母親の声を聞きながら角を曲がる。少し走るとすぐにバイクを止めた。
「え?どうしたの?」
○○は大きく重いヘルメットを上げながらエースを見る。
「こうだ」
エースは○○の両手を食いっと引っ張ると、自分の腰に巻き付ける様に掴まらせた。
「う、うん!」
○○はエースの背中にペッタリくっ付く様に身を寄せ、抱き付いた。
エースは再び発進させる。
「どこ行くの?」
「海だ!!!」
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