21

「な、何となくよ!何となく!」

○○はそう言いながらいつもより丹念に体を洗い、無駄毛処理をする。

風呂から出るとスキンケアも念入りにし、新しい上下セットの可愛い下着を着た。

「せっかく、新しく買っただけ」

自分に言い聞かせる様にして、部屋に行く。

「これは、せっかくのデートだからね!」

服を選ぶのにも慎重ではあるが、ルンルンと胸は高鳴る。

「あ、たまには」

マニキュアを取り出し丁寧に塗る。

「うん!後は」

眉毛も整え、髪の毛もちゃんとしてなどやっていたら、いつの間には風呂から出て2時間は軽く経ってしまった。

「っ!早く寝なきゃ」

○○は慌ててベッドに潜り込む。

「お休みなさい」

○○は押し寄せてくる睡魔に逆らわずに寝た。





翌朝、いつもより早く目覚めた。

「どこ行くのかな」

と、7時を過ぎるまでベッドでわくわくとしていた。


朝食を食べ、歯を丹念に磨き、顔も良く洗う。
化粧水と乳液も念入りにし、着替えて化粧も少しだけする。

「よし、おかしくない。眼鏡以外は……」

○○はほぅと息を吐く。
絶望的に悪い見た目ではない。
しかし、何となく眼鏡はやはりお洒落につけこなせないでいた。

「でも、コンタクトとか怖いし、レーザーも……」

はぁ、とため息を漏らしていると「もうすぐ出る」とのエースからのメールが届いた。

「ねぇ!お母さん!」

「あら、可愛いじゃない!デート?」

母はクスクスと笑った。
我が娘がようやくデートをすると少し楽しそうにしていた。

「……変じゃない?」

「可愛いわよ」

母に言われてホッとした。






「エース。出掛けるのか?」

ガープは出掛けようとするエースに声をかける。

「おう」

「この前の娘さんか?」

「……おう」

隠す事でもないかとエースは頷く。

「ちゃんと避妊はするんだぞ」

「ぶっ!!何言ってんだよ」

ガープの言葉にエースが吹き出す。

「当たり前だ。相手の事、自分の事をちゃんと考えて、責任を取れん事はするな」

ガープは真面目な顔で言う。

「……おう」

それから汲み取れない程愚かではないエースは頷く事しか出来なかった。






玄関を開けると凄まじい音がした。

「え?バイク?」

○○は不思議そうにエースに駆け寄る。

「おはよう、エース。これ……」

○○は不思議そうにエースとエースが跨がるバイクを見る。

「俺の。二年位前に自腹で買った。結構気に入ってる」

おはよと挨拶をしてからエースはエンジンを止める。

「あら!貴方が○○の?」

「お、お母さん……」

○○が振り返ると、母親が外に出ていた。

「おはようございます。○○さんとお付き合いをさせていただく事になりました、ポートガス・D・エースです。以後、お見知りおきを」

エースはぺこりと頭を下げ、きちんと挨拶をする。

「あらあら、ご丁寧に。気を付けてね」

母親はイケメンエースににこりと笑った。

「ほら、メット」

エースがヘルメットを渡す。

「え?うん」

○○が被るとエースは自らも被り、バイクに跨がり、エンジンをつける。

「乗れ」

「う、うん」

よいしょと乗ると、エースが支えているだけなのに、ぐらぐらと揺れる事はなかった。

「ちゃんと掴まれ」

○○はエースの服に掴まる。

「では、行ってきます」

エースはそう母親に言うと、目のシールドを下げ、出発させる。

「行ってらっしゃーい」

母親の声を聞きながら角を曲がる。少し走るとすぐにバイクを止めた。

「え?どうしたの?」

○○は大きく重いヘルメットを上げながらエースを見る。

「こうだ」

エースは○○の両手を食いっと引っ張ると、自分の腰に巻き付ける様に掴まらせた。

「う、うん!」

○○はエースの背中にペッタリくっ付く様に身を寄せ、抱き付いた。

エースは再び発進させる。


「どこ行くの?」

「海だ!!!」

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