15
「ただいまー!」
「サボーー!!!お帰りーー!!!」
サボが家に入ると、ルフィが嬉しそうに飛んできた。
「なんじゃ!帰って来たんか!」
ルフィの祖父であるガープも顔を出す。
「おう!土日暇だからな。それより客だ」
「客ゥ?!」
「入れよ」
サボが促すと○○がそろりと顔を出す。
「こ、こんばんは」
「あー!!○○じゃねーか!」
ルフィが嬉しそうに○○を見る。
「あ?知り合いなのか?」
サボが不思議そうにルフィと○○を見る。
「おう!アイス屋の姉ちゃんだ!」
ルフィがにししと笑う。
「あ、の。お土産です」
○○は店で余ったアイスをルフィに渡す。
「やった!!」
ルフィは嬉しそうにアイスを受けとる。
「で?サボは堂々と彼女を連れ込む気か?」
ガープがギロリとサボを睨む。
「俺じゃねーよ。こっち来いよ」
サボは靴を脱いで二階への階段を上がる。
「え?」
○○は困った様にガープとサボを見る。
「大丈夫だから」
サボは笑って手招きをする。
「えっと、お邪魔します」
○○はガープに頭を下げる。
「後で茶を持ってく」
ガープはニヤリと笑った。
取り合えず家主に了解を貰えてホッとする○○。
(やけに騒がしいな)
エースはベッドに寝転びながら、ゲームをやっていた。
○○から借りたゲームは返すタイミングをすっかり無くし、やり続けている。
内容も面白く、なかなかエース好みでもあった。
(チッ。もう無理なのに)
エースは少し暇が出来るとついつい○○の事を考えてしまう。
(何やってんだ?俺)
エースはため息をついた。
ーーコンコン
「よう!エース!」
「サボ!お前か!」
どうりで騒がしいと思ったとエースはベッドに転がったまま、サボを見た。
「それより、客だ」
「客?」
エースは不思議そうに身を起こす。
「ほら!今更怖じ気づくな!」
「っ!○○?!」
「こ、こんばんは」
サボに無理矢理手を引かれ、エースの部屋へと押し込まれた○○を見て、エースは驚いた。
「じゃあ、ごゆっくり」
サボはニヤリと笑うと、ドアを閉めた。
「……」
「……」
エースはチラリと久し振りの○○を見る。
(クソッ!可愛い。少し痩せたか?)
「何の用だよ」
エースは心とは裏腹に声を出した。
○○はびくりと体を揺らした。
「あ、あの」
○○は意を決してエースを見る。
「ごめんなさい!勝手に噂話とかして!」
○○は頭を思いきり下げた。
「もう、良いよ」
エースはため息をついた。
「で、でも!これだけは言わせて欲しくて」
「何だよ」
エースは○○を見る。
「私はもう振られてるから、何を言ってももう関係ないけど。私は、嫌なの!」
○○は顔を赤くしてエースを見る。
「ほ、本命がいても他に女の子と遊んで欲しくないの!他の噂話が本当でも、それだけは嘘であって欲しかったって」
「は?」
○○の言葉にエースは呆けた様に声を出す。
「だってね?やっぱり女の子としては、自分の好きになった人には自分以外を見て欲しくないと言うか。わ、私の場合は好きになっちゃうと、一途って言うか、それを重いって言うかも知れないけど。その人以外を見れなくなっちゃうの」
○○は息をつく。
「だから、エース君が、本命ってか、彼女が出来たら、他の女の子と遊ぶのは止めた方が良いよ?あの、これから本当に好きな人が出来たら、その人に辛い思いさせちゃうから……」
○○はどんどん自分が情けなくなってきた。
「…………ご、ごめんね!振られた上に説教とかおかしいよね。えっと、それだけだから」
じゃあ、と○○がドアを開けようとドアノブに手をかける。
「あのさ」
エースの静かな声にドアを開けるのを止める。
「親父が犯罪者ってのは?」
エースの声に振り返らずに○○は息を飲む。
「そ、そりゃエース君も大変な思いしたんだろうなーって思うよ。でも、関係ないと思うよ」
「関係……ない?」
エースは静かに繰り返す。
「親は親。子は子と、言うか。だって、それが原因でエース君も嫌な思いしたんじゃない?でも、お父さんも嫌な思いしたんじゃないかな?」
○○は口を潤すように唇を舐める。
「親父が?」
「うん。親って、好き勝手してから親になるんだよ。親になってからは子供の為に生きるんだよ。きっと」
○○は言ってから慌てる。
「ごめ!偉そうな事言って」
○○は振り返る。
「っ!」
いつの間にかすぐ後ろに来ていたエースに驚いた。
「お前は俺が犯罪者の子供でも好きになれるか?」
エースは真剣な顔をする。
「……なれるよ」
○○も真剣な顔で頷いた。
「俺の事、今でも好きになってくれるか?」
エースは真剣な、それでいて切なそうな顔をする。
「……ごめんね。凄く、好き」
○○の言葉にエースは居てもたってもいられなくて、唇を奪う。
「やっ!えー」
○○の嫌がる声も耳に入らずにエースは○○の唇に貪り付く。
乾きを潤すように。
潤いを求めるように。
○○の両手をドアに縫い付けるように押さえ込み、嫌がる舌を絡め、エースはしつこく深い口付けをする。
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