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「ただいまー!」

「サボーー!!!お帰りーー!!!」

サボが家に入ると、ルフィが嬉しそうに飛んできた。

「なんじゃ!帰って来たんか!」

ルフィの祖父であるガープも顔を出す。

「おう!土日暇だからな。それより客だ」

「客ゥ?!」

「入れよ」

サボが促すと○○がそろりと顔を出す。

「こ、こんばんは」

「あー!!○○じゃねーか!」

ルフィが嬉しそうに○○を見る。

「あ?知り合いなのか?」

サボが不思議そうにルフィと○○を見る。

「おう!アイス屋の姉ちゃんだ!」

ルフィがにししと笑う。

「あ、の。お土産です」

○○は店で余ったアイスをルフィに渡す。

「やった!!」

ルフィは嬉しそうにアイスを受けとる。

「で?サボは堂々と彼女を連れ込む気か?」

ガープがギロリとサボを睨む。

「俺じゃねーよ。こっち来いよ」

サボは靴を脱いで二階への階段を上がる。

「え?」

○○は困った様にガープとサボを見る。

「大丈夫だから」

サボは笑って手招きをする。

「えっと、お邪魔します」

○○はガープに頭を下げる。

「後で茶を持ってく」

ガープはニヤリと笑った。

取り合えず家主に了解を貰えてホッとする○○。






(やけに騒がしいな)

エースはベッドに寝転びながら、ゲームをやっていた。
○○から借りたゲームは返すタイミングをすっかり無くし、やり続けている。
内容も面白く、なかなかエース好みでもあった。

(チッ。もう無理なのに)

エースは少し暇が出来るとついつい○○の事を考えてしまう。

(何やってんだ?俺)

エースはため息をついた。


ーーコンコン


「よう!エース!」

「サボ!お前か!」

どうりで騒がしいと思ったとエースはベッドに転がったまま、サボを見た。

「それより、客だ」

「客?」

エースは不思議そうに身を起こす。

「ほら!今更怖じ気づくな!」

「っ!○○?!」

「こ、こんばんは」

サボに無理矢理手を引かれ、エースの部屋へと押し込まれた○○を見て、エースは驚いた。

「じゃあ、ごゆっくり」

サボはニヤリと笑うと、ドアを閉めた。

「……」

「……」

エースはチラリと久し振りの○○を見る。

(クソッ!可愛い。少し痩せたか?)

「何の用だよ」

エースは心とは裏腹に声を出した。

○○はびくりと体を揺らした。

「あ、あの」

○○は意を決してエースを見る。

「ごめんなさい!勝手に噂話とかして!」

○○は頭を思いきり下げた。

「もう、良いよ」

エースはため息をついた。

「で、でも!これだけは言わせて欲しくて」

「何だよ」

エースは○○を見る。

「私はもう振られてるから、何を言ってももう関係ないけど。私は、嫌なの!」

○○は顔を赤くしてエースを見る。

「ほ、本命がいても他に女の子と遊んで欲しくないの!他の噂話が本当でも、それだけは嘘であって欲しかったって」

「は?」

○○の言葉にエースは呆けた様に声を出す。

「だってね?やっぱり女の子としては、自分の好きになった人には自分以外を見て欲しくないと言うか。わ、私の場合は好きになっちゃうと、一途って言うか、それを重いって言うかも知れないけど。その人以外を見れなくなっちゃうの」

○○は息をつく。

「だから、エース君が、本命ってか、彼女が出来たら、他の女の子と遊ぶのは止めた方が良いよ?あの、これから本当に好きな人が出来たら、その人に辛い思いさせちゃうから……」

○○はどんどん自分が情けなくなってきた。

「…………ご、ごめんね!振られた上に説教とかおかしいよね。えっと、それだけだから」

じゃあ、と○○がドアを開けようとドアノブに手をかける。

「あのさ」

エースの静かな声にドアを開けるのを止める。

「親父が犯罪者ってのは?」

エースの声に振り返らずに○○は息を飲む。

「そ、そりゃエース君も大変な思いしたんだろうなーって思うよ。でも、関係ないと思うよ」

「関係……ない?」

エースは静かに繰り返す。

「親は親。子は子と、言うか。だって、それが原因でエース君も嫌な思いしたんじゃない?でも、お父さんも嫌な思いしたんじゃないかな?」

○○は口を潤すように唇を舐める。

「親父が?」

「うん。親って、好き勝手してから親になるんだよ。親になってからは子供の為に生きるんだよ。きっと」

○○は言ってから慌てる。

「ごめ!偉そうな事言って」

○○は振り返る。

「っ!」

いつの間にかすぐ後ろに来ていたエースに驚いた。

「お前は俺が犯罪者の子供でも好きになれるか?」

エースは真剣な顔をする。

「……なれるよ」

○○も真剣な顔で頷いた。

「俺の事、今でも好きになってくれるか?」

エースは真剣な、それでいて切なそうな顔をする。

「……ごめんね。凄く、好き」

○○の言葉にエースは居てもたってもいられなくて、唇を奪う。

「やっ!えー」

○○の嫌がる声も耳に入らずにエースは○○の唇に貪り付く。

乾きを潤すように。
潤いを求めるように。

○○の両手をドアに縫い付けるように押さえ込み、嫌がる舌を絡め、エースはしつこく深い口付けをする。

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