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あれから数日が経った。

振られたんだと気付いた瞬間、目からは尋常じゃない涙が出た。
これは、干からびるのではないかと思うくらいだった。

それほどに自分はエースの事を好きになっていたと○○は思い知らされた。


次の日から電話もメールも暇さえあれば会っていた大学でも会わなくなっていた。

失恋とはこんなにあっけなく、辛いものなのかと不思議に思った。

食べ物も時には飲み物も喉を通らなく、3日で5キロ減ったのには自分でも笑った。

たった数日の付き合いだったのに。




「ねぇ、○○?何かあったの?」

珍しく金曜日の夜にバイトに入っていたナミに○○は聞く。

「え?」

「いや、先週からくらべて大分痩せたと言うか、やつれたから……」

ナミは心配そうな顔をする。

「うん、ダイエット」

○○はなるべく明るく声を出す。

自分から、エースに話を聞こうとしたが、結局会えずじまいだった。

「……無理はしないでね」

ナミは何も聞きはしなかった。

「……ねぇ、ナミちゃん。ルフィ君の家って知ってる?」

「ルフィの?知ってるけど。……これしだい?」

ナミはおどける様に手でお金のマークをした。

こんなに若くて美人なのに欲しい物はお金だと言う。

「じゃあ、大学の焼き菓子!」

大学には管理栄養士学科もあり、学生が作る安くて美味しいお菓子も売っている。

「良いわ!えーっと。はい!」

ナミはさらさらと地図を描く。

「ありがとう!ナミちゃん」

「お礼、忘れないでね!」

ナミは可愛らしくウインクをした。





「…………ここか」

閑静な住宅街に建つ一軒家。

表札には「モンキー・D・ガープ、エース、サボ、ルフィ」と書かれていた。

「モンキー?あれ?ポートガスじゃなかったっけ?」

○○はうろうろと家の前をさ迷った。


「うちに何か用?」

後ろから若い男に声をかけられた。

「え?あ!お家の方ですか?」

○○は恐る恐る声をかける。

「そうだけど……。あ!あんた!合コンの時の!」

「え?」

「サボだよ!覚えてねーかな?エースと一緒に合コンで会ってるよね?」

サボはにこりと笑った。

「え?え?え?!」

○○は困った顔をする。

「もしかして、エースに用?」

「あ、はい。……あの」

「いるかな?あいつ。うん?」

「す、少し話しても良いですか?」

○○はエースの前にサボに聞こうと口を開いた。

「あ?……じゃあ、そこに公園あるから、そっち行こうか」

真剣な表情の○○にサボはそう提案した。

○○は大人しく着いていく。





「へぇ!あいつと付き合ってるんだ!」

サボは意外そうに目を丸くする。

「いえ、振られちゃったんです」

○○は首を左右に振った。




二人は公園のブランコに座って自販機で買った珈琲とミルクティを手に話している。


「え?なんで?」

サボは興味深く聞く。

「あの、噂話を話題にしたから」

○○はその時の事を出来るだけ詳しく話す。

「あー……それは、そうか」

サボは眉間にシワを寄せた。

「まさか、本当だったなんて。私には、耐えられないです」

○○は涙を我慢した。

「でもさ、あいつの気持ちも考えてやって?」

サボはエースのフォローに回る。

「でも!いくら女の人好きだからって、本命がいても他に女の子と遊ぶなんて。私には耐えられないです」

「え?は?」

サボは混乱する。

「わ、私、一度好きになっちゃうと、一途なんです。自分で言うのもおかしいけど。だから、他の子と……そう言う事してるって言われちゃうと……」

○○はポロポロと涙を流す。

「私って、我が儘なんでしょうか?」

○○はサボに聞く。

「いや、あのさ。そこ?親父が犯罪者とかは?」

サボも混乱して○○に聞く。

「え?あ、きっとエース君も大変な思いしたんだろうなーって」

「気にしないのか?」

「え?だって、親は親。子は子でしょ?」

キョトンと○○はサボを見る。

「ぶはっ!!あははははは!!」

サボは突然笑い出した。

「え?」

○○は困った顔をする。

「来いよ!エースの所に案内してやるから」

「え?あ!はい!」

サボの言葉に○○は嬉しそうに頷いた。





「あんた、良い女だな!」

「産まれて初めて言われました」

「マジで?見る目の無い男しかいなかったんだな」

「いや、それは無いと」

「おもしれェな!」

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