10
エースは○○の腰に腕を回し、引き寄せる。
「っ!!え?な、何?!」
○○は狼狽しきった真っ赤な顔でエースを見上げる。
「げ、ゲームなら貸してあげるよ!友達に借りて楽しくて、自分でも買ったやつだから!えっと、これ充電も!!」
○○はあわあわとエースにPSPと充電コードを差し出す。
「あァ、ありがとな」
エースはニヤリと笑うとそれを片手で自分の鞄に入れる。
そして、○○を強く抱き寄せる。
「っ!!え、エース……」
「なァ、キスしてェ」
エースはぐっと顔を近付ける。
「っ!!し、したじゃない!」
「あんなんじゃ足りねェよ。もっと舌とか入れてェ」
真剣な顔をしてエースは口から舌を覗かせる。
「っ!!く、口に出さないでよ!」
○○は涙目になって口を開く。
「それでも足りねェんだよ。触って、舐めて、噛んで、入れて、感じてェ」
エースはじっと○○を見つめる。
「ーーー!」
この様な状況に慣れていない○○は顔を真っ赤にしてして、口をぱくぱくとさせていた。
「○○」
エースは○○に唇を寄せる。
○○は慌てて目を閉じた。
ちゅっと、唇同士が触れる。
びくりと○○の肩が震えるのをエースは押さえ込む。
「っ!……」
強く押し付けて、そろりと舌で固く閉じられた唇を舐める。
驚いてエースを押し返そうとするが、びくともしなかった。
「っん」
辛抱強く待つと、○○の口の力が抜ける。
それを逃さずするりと舌を侵入させる。
「っん…………ふ」
気を抜くと自分から甘ったる声が出て○○は驚く。
「○○……」
エースは○○の唇から離れ顔を覗き込む。
「っ!」
○○はエースの顔見て驚いた。
熱の籠った瞳は強くこちらを見ている。
(あぁ、もう!見ないでよ!)
○○は恥ずかしさと照れ臭さと、もう止めて欲しい気持ちと、もっとして欲しい気持ちとがぐちゃぐちゃと胸の鼓動を速くした。
ーーキーンコーンカーンコーン
「っ!!あぁぁ!!」
○○が大声で叫ぶとエースはびくりと手を緩める。
「じ、授業!!私何のために学校来たのよ!」
○○はさっと青ざめる。
「あ?この状態で……」
エースは狼狽しながら○○を見る。
「サカズキ先生は厳しいから!じゃあね!」
○○はわたわたと鞄を胸に抱きエースに手を振る。
「え?おい!!」
ーーパタン
静かな屋上に扉の閉じる音が無情に響いた。
「………………はぁ」
エースはその場にしゃがみ込んだ。
「いや、でも、もうあいつは俺のモンだからな」
エースはニヤリと笑った。
「はぁ、はぁ、セーフ」
「珍しいね、○○がこんなギリギリ」
「いや、色々あって……」
「どうしたの?顔真っ赤!」
「っ!!!」
「あー、熱もあるわよ?」
「そ、そんな事ないよ!!」
「何で慌ててるの?」
「それは……」
「あ、先生来た!」
「続きは後でね?」
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