09
ハートのサークル室から○○の声がした。
エースはノック無しでその扉を開けた。
「よう、ポートガス屋」
ニヤリと笑うローの隣には紛れもない○○の姿があった。
「なにしてんだよ」
エースは低い声でローを見る。
「何って昼飯食ってたんだよ」
ローはニヤニヤと笑った。
「こんなとこ連れ込んでか?」
「連れ込んだのはこいつらだ」
ローはシャチとペンギンを指差す。
「そうだな」
「ほら、この前の礼をしてたんだよ」
ペンギンが頷き、シャチが笑う。
エースは苛立つ自身を深呼吸で押さえ込む。
「来い」
「へ?」
「いいから!」
エースは○○の手を掴むと無理矢理立たせる。
「あァ、○○、土曜日待ってるぜ」
クククとローは喉を鳴らした。
「あァ?!」
エースは不機嫌そうにローを睨む。
「デートだ。邪魔するなよ?ポートガス屋」
ローは至極楽しそうに笑った。
「っ!!」
エースはローに殴りかかりそうになったが、○○の不安そうな顔を見て部屋から出て行った。
「い、痛いよ」
○○は抗議する。
人気のない屋上でようやくエースは○○の手を離した。
「………………行くのかよ、デート」
エースはぶっきらぼうに聞く。
「え?あ、デートじゃないよ?シャチ君もペンギン君も行くし。なんならエース君も来たら良いじゃない」
○○はクスリと笑った。
「………………悪い」
「え?何が?」
エースの言葉に○○はキョトンとする。
「だって、あいつらお前に礼をしてただけなんだろ?」
「うん」
○○は頷いた。
「はぁっ!カッコ悪」
エースはその場にしゃがみ込んだ。
「え?な、なんで?」
「だってよ」
チラリとエースは○○を見る。
「お前が他の男に囲まれて笑ってるだけでイライラした。嫉妬だよ。チクショウ」
小さく呟くようにエースの口から言葉が出る。
「……エース君?」
○○は不思議そうにエースの前に合わせる様にしゃがみ込む。
「……もしかして、私に好きって言ったの……本心?」
○○は不思議そうに聞く。
「っ!!当たり前だろ!!!」
エースは顔を赤くして怒る様に言う。
「でも、この前の……えっと●●さん?」
○○の言葉にエースはびくりと肩を震わせる。
「………………好きだった」
エースはそれだけ言う。
「そっか」
○○は納得して立ち上がる。
「私と付き合う?」
○○はエースを見下ろす。
「え?良いのか?」
「私の場合他に好きな人いないし」
○○は照れた様に言う。
「ビクトールは?」
「へ?あ?え?!なななな何で?!」
○○は焦って声を出す。
「前に学食で聞いた」
エースの言葉に○○は顔を真っ赤にした。
「俺はそいつより、お前が好きだ!後悔させねー!幸せにしてやるから!」
エースは立ち上がって○○を正面から見る。
「俺を好きになれよ」
エースは笑った。
「…………うん」
○○は顔を真っ赤にして頷いた。
「っしゃあ!!!」
エースは拳を作って喜ぶ。
「あ、あのね、エース君」
「エース」
「へ?」
「エースって呼べよ」
「う、え?あ……」
エースはニヤリと笑って○○に近付く。
「う、ん?え、エース……」
「○○」
甘い雰囲気を感じてエースはゆっくり○○に近付く。
「あのね!ビクトールってのはね!」
○○の焦る声にエースは眉間にシワを寄せる。
○○は慌てて鞄からPSPを取り出した。
「……ゲーム?」
「そ、そう!友達に借りて!」
○○は恥ずかしそうにエースに携帯用ゲーム機を渡す。
「あ、エースもやる?」
○○の笑顔にエースは掠める様にキスをした。
「っ!!!」
「あァ、やりてェな」
エースはニヤリと笑った。
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