04
「見付けたァァ!!」
後ろからサッチが追い付いた。
「あ、忘れてた」
憂がサッチの顔を見てさらに続ける。
「アイスクリーム!!」
「そっちかよ!!!」
憂の言葉にサッチが全力で突っ込む。
「って!あー!マルコ!!」
サッチが憂の腕の中にいたマルコを見付け、指を差しながら叫んだ。
「お前!捕まったのか!今助けてやるからな!!」
サッチが憂に向かって2本のナイフを取り出した。
「「憂に何する!」よい!」
シャンクスとマルコが同時にサッチを蹴り付けた。
「はっ?はぁ?!」
サッチは蹴り飛ばされながら叫んだ。
「…………は?意味わかんねェ!!!マルコ!お前こんな暴力女に惚れたって事か?!」
サッチは事情を聞きながら蹴られた鼻の上に絆創膏を貼り付けた。
「ほ、惚れ?!」
憂は驚きと照れ臭さに赤く染まる頬を隠すように片手で頬を隠した。
「だから!憂は暴力女じゃねェ!照れ屋なんだよ!」
シャンクスがギロリとサッチを睨む。
「いや、本気で嫌がって……」
憂は呆れながらシャンクスを見る。
「それにな!憂は俺のなんだよ!今だって憂の初デートを貰ったんだよ!!」
シャンクスは憂の言葉が聞こえない様に叫んだ。
「誰があんたのよ!!!」
「がふっ!!!」
憂の回し蹴りがシャンクスを捉えた。
「何だよ、なら憂をうちの船に乗せりゃ良いだろ」
吹き飛ばされるシャンクスを横目にサッチが声を出す。
「……」
「だってよ、変態赤髪と変態船長に困ってるんだろ?ならそいつらから別れられるし、マルコも側にいられるんだぜ?同じ海賊ならすぐに慣れるしさ!」
サッチがニヤリと笑うと「なるほど」 とマルコが頷いた。
「たまには良い事言うよい」
マルコは驚いた表情のまま言う。
「たまにって!いつもだろ!!」
サッチはケラケラと笑った。
「憂」
「ん?」
マルコが真剣な顔で憂を見る。
「俺達の船に来ないか?オヤジも気に入るよい」
マルコがニヤリと笑い、手を差し出した。
「…………」
意外にもシャンクスはそれらの事を黙って見ていた。
「……確かにロジャー船長もシャンクスも変態だからなぁ。お風呂にもおちおち入れないし、洗濯物はお日様の下で干せないし、着替えるのも一苦労だし、部屋の鍵はいつの間にか無くなるし……」
「…………」
「…………うわー……」
マルコとサッチはドン引きだった。
「でも!私はまだあの船で海賊してたいの!レイリーさんからまだ学びたい事もあるしね!」
憂はニコリと笑った。
「……そうかよい」
マルコはフッと笑うと手を下げた。
「ハハハ!次に会ったら敵同士だな!」
サッチは楽しそうに笑った。
「うん!じゃ!またね!」
憂はマルコとサッチを残してシャンクスと共にその場から離れた。
「マルコちゃーん、残念だったね」
サッチはニヤニヤと笑った。
「ふん、諦めたなんて誰が言ったよい?」
マルコはポケットこらタバコを取り出した。
「あはは!そっか!!!憂も変なのに惚れられたな!」
サッチが楽しそうに笑った。
「さーて?アイスクリームはどこかしらっ?!」
憂が町を散策しようとしたら、シャンクスに後ろから抱き付かれた。
「また!あんたは!」
憂がいつもの様に暴れようとしたが、シャンクスの力に勝てなかった。
「良かった……」
「?」
弱々しいシャンクスの声がした。
「俺を選んでくれてありがとう」
シャンクスは静かな声で言った。
「べ、別にシャンクスを選んだんじゃないよ!」
憂は赤くなりそうな顔を必死で否定した。
「それでも、だ」
シャンクスの抱く腕が強さを増した。
「……自分の目で世界中を見回りたい。あんたも同じでしょ?この目的に一番近いのはあの船で見習いする事だもんね!」
憂はクスリと笑った。
「あァ!」
シャンクスは腕を緩めると憂と向かい合う様にくるりと回した。
「世界中を自分の目で見て回ろう!一緒にな!」
シャンクスは真剣な顔でフッと顔を緩めた。
「っ!!!」
そのいつもとは違う表情に不意に憂は顔を真っ赤にした。
「調子に乗るなぁぁーー!!!!!」
「ぐはっ!!!」
憂は赤い顔を隠すためにシャンクスを突き飛ばした。
レッツゴー クレイジー!「美味しい!」
「旨い!!」
「シャリシャリなのにアイスだから氷と違って滑らかに溶けていく!」
「おう!それに氷みたいに味気無くないな!」
「バギーにも買っていこうか!」
「…………そうだな、あいつに全部押し付けて来たからな……」
「…………は?」
「おーい!バギー!洗濯物!」
「はい!」
「おう!バギー!風呂掃除!」
「あ、はい!」
「バギー!甲板掃除!」
「…………あの野郎!!!派手にぶち殺して殺るゥゥゥゥ!!!!!」
[ 4/5 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]