04
ローも黎もそれぞれ医師、看護師として病院では欠かせない人材へとなった。
大きな総合病院勤めで、ローは外科、黎は小児科と部所が違うため、休みも労働時間も違い、すれ違いの日々を過ごしていた。
「……ふぅ……疲れた……。最近忙しかったからなぁ」
黎はようやく終わった仕事を振り返りながら白衣を脱いだ。
「……ローも確かそろそろ終わりかな?ちょっと見に行っちゃおう!」
黎はこの1週間でトータル数時間しか会っていないローの顔を思い浮かべて嬉しそうに笑った。
「たまにはローと出掛けたいなぁ。最近出来たイタリアンのお店にでも行こうかな」
小児科から外科のある病棟に歩きながらやっと休暇が貰える喜びを噛み締めていた。
「あれ?」
外科へ行ってみるがローの姿が見えない。
「ペンギン先生」
黎はローの同僚のペンギンを見付けて声をかけた。
「あァ、黎。キャプテンなら仮眠室だ」
ペンギンは心得ていた様に指をさした。
「え?もう終わりの時間でしょ?」
黎は不思議そうにした。
「手術を物凄いスピードで終わらせて、黎が終わるまで仮眠を取りたかったらしい」
「そうなんだ。じゃあ、行ってみます!」
ペンギンに見送られ、医師仮眠室を軽くノックしてから黎はそこに踏み込んだ。
「失礼しまーす」
シンッと静まり返ったそこは人気がなかった。
ドアを静かに閉め、二段ベッドがある半個室を覗く。
「あ!ロー」
小さな声で眠るローに声をかける。
黎は出入り口のドアを閉めるとローへ近付いた。
「ロー、いつもお疲れ様」
激務をこなすローはここ最近いつも疲れた顔をしていた。
黎はそんなローを優しく撫でた。
「ん……終わったのか?」
ローが目を覚まし、黎の顔を見た。
「うん。ごめんね、起こしちゃったね」
黎は静かに話しかけた。
「いや、問題ねェ」
ローは黎の頭を撫でる。
「もう少し寝る?」
この時間なら他に仮眠する人もいないだろうと黎が提案する。
「いや……そうだな。黎も寝るか?」
ローはベッドの僅かな隙間をポンポンと叩いた。
「え?さすがに狭いよ」
黎はクスクスと笑った。
「乗れば良いだろ」
「っ?!」
グイッと物凄い力で引かれ、黎はいつの間にかローに股がる様に乗っていた。
「こ、これはおかしいよ」
黎は顔を赤くしてわたわたとローから降りようとしたが、ローの手によってそれは叶わなかった。
「良い眺めだな」
「ちょっ!」
ローの手が黎のブラウスのボタンを片手で外して行く。
「だ、ダメだよ!ロー!こんな所でっん!!」
いきなりダイレクトに胸に触れたローの手に反応してしまった黎は恥ずかしそうに顔を赤くした。
「や、ローっん!」
「声出すな。ペンギンに気付かれるぞ」
「っ!!!」
黎は慌てて口を閉ざした。
「それで良い。いつも働くナースにご褒美のひとつもやらねェとな」
ニヤリと笑うローの顔はとても官能的だった。
愛するあなたへご褒美を「待て、シャチ。入るな」
「あ?俺は2時間の手術でくたくたなんだよ!」
「キャプテンと黎が中にいる」
「っ!!!……」
「おい、止めておけよ」
「聞こえる」
「っ!!!し、知らねェぞ?後でどうなっても」
「くそー!俺も早く嫁さん欲しい!!!」
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